serial story
7
あの後、って言うのは、まず間違いなく昨日の警視庁んでのことだろう。
完全に不機嫌な斎藤の前に張一人を置いて、逃げるように帰った俺。
「まぁまぁ。」
と、俺は気休め程度に張を落ち着かせようと声を掛けるが、駄目っぽい。
「あの後、俺はなぁ・・・。」
と、面倒な雑務やら、資料集めに散々町中を走り廻されたことやら、いつも以上の悪態やら何やら。
とにかく、いつもの5倍は働かされたと、若干疲労気味の声で話を俺に聞かせた。
「悪かったって。な?今度何かしてやっから。」
俺は張の顔を覗きこむように謝る。
「何かって何やねん。言っとくけど、この代償はかなりでかいぞ。」
「わかってるよ、何でもしてやるって。」
「なんでも・・・?」
あれ・・・?
「お、おう・・・。」
何か張の顔が豪くニヤリとしているような?
「今の言葉、忘れんなよ。左之助。」
張は満面の笑みを浮かべながら、俺の肩にポンと手を置く。
俺って、ひょっとして今、墓穴を掘った・・・?
張の顔は笑っているいるけど、ものすごくしてやったりな笑顔。
俺の顔も笑っているけど、ものすごく後悔している笑顔。
ちょっと前から、やり直したい。
と、思ったけど、そんなの叶うわけもなく、張はご機嫌となった。
次からは、もっと考えて発言しよう。
「で、お前はこんなとこフラついてなにしとんねん。」
すっかり機嫌の良くなった張が俺に訊ねる。
「いや、別にすることもねぇからよ。今、剣心とこ行ってきたんだ。」
「あぁ、抜刀斎。何や、最近うちによう来てるけど。」
「剣心が?」
「そうや。」
そうなんだ。
いや、でも何で剣心が張んとこに行ってんだ?
そんなに仲良かったか?
俺にはちょっとした疑問だった。
まぁ、仲が良いことにこしたことはないけど。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!