serial story
6
さて、これからどうするかな。
神谷道場を後にした俺は、特にこれといってすることもなく、町の中を一人歩いていた。
にしても、今日は暑いなぁ・・・。
左之助は、カラリと晴れた空を見上げる。
今日の天気も晴天。
じんわりと、額に汗をかいてしまうくらいの暑さだ。
もうじきすると、追い打ちを掛けるかのようにセミが鳴きだす。
そうなってくると、いよいよ夏だ。
夏は嫌いじゃない。
花火大会に祭りに、海で泳いだり、うまい野菜や果物がたくさん成る。
俺は、夏が好きだ。
暑いのが、ちょっとアレだけど。
俺の向ける足はどこへ行くでもなく、ただ歩く。
誰かに会わねぇかなぁ。
久しぶりに克んとこにでも遊びにいってみようかな。
そんなことを考えていたからだろうか。
俺の歩く先からこちらに向かって知った顔が・・・いや、頭が歩いてきた。
顔は人が行きかっていて見えないけど、あの髪形はたぶんあいつだ。
いや、あいつしかいねぇ。
そして俺に気付くと、こちらに向かって走り出す。
人ごみを抜けて、だんだんと顔が見えてくる。
ほら、思った通り。
「左之助ぇぇぇ」
そう叫び、やや怒った顔で俺の所までやってきたのは、張だった。
「よう。」
「よう。やないわっ!!このトリ頭が!!!」
やっぱり張は怒っていた。
その原因に嫌なほど心当たりがある。
ハハッ。
と、すまなさそうな笑いを張に向けてみた。が
「笑ってごまかすな、アホんだら!!あの後、どんだけ俺が酷い目にあったか知っとんのか!!」
全くの逆効果だった。
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