serial story
4
「ごっそさん。」
俺は箸をお盆に戻し、湯呑みに手を掛けながら剣心に声を掛ける。
「昨日、豪い目にあった。」
剣心がお茶をすするのを止めて、俺の方を向き小首を傾げる。
「何かあったてござるか?」
「何かあったじゃねぇぐらい、俺の昨日はヤバかった。」
俺は昨日の俺の盛大な勘違い珍事件を剣心に話した。
「あはははは。」
剣心に笑われた。
一体なにが可笑しいんだ。
俺はあんなにもいっぱいいっぱいだったってぇのに。
剣心はすまないすまないと、涙目になって笑う顔で俺に謝罪する。が、そんな顔で謝られても全く意味がない。
俺はムスッとした声で言ってやった。
「そもそも剣心が俺に、狙われてるなんて言うから、あんなことになったんだ!」
すると剣心はキョトンとした顔で俺を見る。
「いやいや、拙者は左之が狙われてるなんて一言も言ってないでござるよ。」
「へ?」
あれ?
そうだっけ?
じゃあ、何で俺は狙われているなんておもったんだ?
剣心はにっこり笑顔で俺に諭す。
「拙者はただ、『何か理由があるかも』と言っただけげござるよ。」
今度は俺がキョトンとした顔で剣心を見つめる。
そして、思考を巡らせた。
何か理由があるかも・・・?
理由・・・。
俺に近づいた理由・・・。
「ああぁ!!!」
俺は、焦ったように声を上げる。
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