serial story 3 「左之、できたでござる。早く起き上がって食べるでござるよ。」 剣心はお盆に飯を載せて、俺のところまで持ってきてくれた。 「おう、ありがとなっ。」 俺は勢いよく体をおこし、箸を持ち、胸の前で手を合わせる。 「いただきますっ。」 剣心が用意してくれた飯は、簡単なものといっても、とてもきちんとしていた。 白いご飯に、俺の好きな焼き魚。剣心が漬けた漬物に味噌汁。それに摩り下ろした生姜と葱がのった豆腐。 本当においしい。あったかい気持ちになれるそんな飯だ。 俺はそれらを勢い良く、食べた。 剣心は、隣に腰を下ろしてお茶を淹れてくれている。 「今日は、嬢ちゃんと弥彦は?」 飯を食いながら剣心に話しかける。 「道場の方で稽古をしているでござるよ。」 「そっか。」 折角弥彦で遊んでやろうと思っていたのに、稽古をしているのであれば、それを邪魔するわけにはいかない。 少し、残念だったがまた次の機会にしよう。 でも、逆に今の俺にはその方が都合が良かった。 なぜなら、そもそも俺は斎藤のことを話にここに来たからだ。 なんとなくだが、斎藤の話を譲ちゃんや弥彦には聞かれたくなかった。 何でかは、よくわからない。言葉には表わしにくいけど。 まぁ、あんまりあいつのこと良く思ってねぇだろうし。 [*前へ][次へ#] |