serial story
13
返事に困ってアタフタとしていた時だった。
「藤田警部補ー!!」
突然耳に入ってきた声。
後ろから警官の服装をした男がこちらに走ってきた。
「事件です。至急、現場までおいで下さい。」
走ってきた男は、息をつく間もなく再び走り出した。
「ちっ。」
斎藤は軽く舌打ちをすると、手に持っていた傘を俺に差し出す。
わけがわからずに、俺はそれを受け取った。
「送ってやれん。代わりにそれをやるから家まで帰れ。」
斎藤はそれだけ言うと、男の後を追って雨の中を走りだした。
「って、おい!!」
俺が声を掛けても斎藤は振り返ることなく、やがてその姿が見えなくなる。
俺は受け取った傘を片手にその場に立ち尽くす。
「斎藤の傘だろ、これ。何で俺にくれるんだ?自分が濡れるだろ。」
俺は何で斎藤が傘をくれたのか意味がわからず、首を傾げた。
そして考えた後、答えがわかった。
部下が来たから、藤田五郎に戻ったわけか!!
なるほどな。そりゃ、優しい警官にならなきゃな。
・・・・猫被りヤローめっ。
俺は、納得したのち家路についた。
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