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serial story
11
いくら、藤田五郎を演じてるっても、一つの傘に男二人ってやっぱおかしくね?




二人並んで歩いている途中、俺はそんな疑問を浮かべる。




まぁでも、おかしくても今の状況から抜け出せることはできないから、考えるだけ仕方ないか。




「・・・。」




「・・・・・。」






相変わらずの無言。


何かを考えていなければ、気まずすぎて耐えられない。



傘に落ちてくる雨の音がでっかく聞こえる。




自分だけの世界に入ろう。自分だけの世界に。





えぇと〜、今日の晩飯は・・・・。





「おい。」




またしても、間が読めない斎藤は俺に話し掛けてきた。



折角、晩飯についての思考を巡らそうとしていたのにだ。




「・・・何だよ?」




俺は少し遅れ返事をした。




「お前は、食わなくてよかったのか?」



「なにを?」




「昼飯。」




昼飯?あぁ、そうか。こいつは俺が既に飯を食った後なのを知らないんだよな。




ひょっとして、気を使ってくれてんのか?





「あぁ、俺はもぉ食った後だったから。あの店に寄ったのは雨宿りのためだったからな。」




「そうか。俺はまた金がなくて食えないのかと思ったんだがな。」





ムカッ。




前言撤回。


こいつは気を使ってくれるような奴じゃなかった。




って、アレ?





『俺?』



今、俺って言った?



藤田五郎は俺なんて言ってなかったよな?






こいつって斎藤一じゃないか?



藤田五郎じゃなくないか?

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