小説 五話:戦闘 レイトの予測は少し外れたかもしれない。 かなりのスピードで城壁に向かって走っていく。しかし、俺のところには誰もいない。 というか、俺に気づいてない。 そのまま真っ直ぐ走って、門にたどり着いた。 城壁について、門となる位置に立っとく。 前にジェントさんがやっていたように、壁にできるだけ近づいて、 「リール…入れてくれ」 『わかった』 そのまま門が開いて、中に入れた。 なんかげんなりした。 レイトとシュードは作戦通りに動いていた。 案の定簡単に見つかり、すぐに目の前に軍隊が大量に現れる。様々な武器を構えているが、レイトは持ち前のスピードで一気に城壁に近づいた。 「…数が少ないですね」 刀を抜き、動きを止めると、 相手側の隊長らしき人物が、 「かかれ!」 と吠えた。 と同時に、数十人が一気に飛びかかってくる。 レイトは微笑んで、 その瞬間、 数十人が一斉に体を斬られていた。 ヒュッ… と風の音がして… 「僕を捕まえたいなら、そんなんじゃ足りませんよ?」 刀には血がついていた。 「うりゃぁ!」 シュードが棒を地面に叩きつけると、そこから雷が飛び出して、何人かに当たった。 飛びかかってくる敵を、棒で受け止め、はねのける。電流を体に溜めて、一気に放電すると、敵が吹き飛んでいく。 「…え終わり?」 すると、敵の隊長が、 「シュード!裏切り者が!おとなしく死ね!」 「やだよ!裏切ってないし!でも殺しにくるんなら…」 棒の先から、バチバチと電気が出る。 「…お前たちでも殺す」 シュードの目の色が変わった。 「ジェントさん…彼らが城壁前に」 「分かってる…まさか本当に来たとはな…」 「っ!予告があったのですか?」 「レイトから、東門に来てくださいってな?」 「それで…どうなさるおつもりですか?第3部隊は目撃情報があった町にいっておりますし…今は第1部隊しか居ません」 「そりゃ、呼ばれたなら行くしかねーだろ?」 「では私は南門に向かいます」 3時の方向… 撃破。 5時……撃破。 10時…撃破。 レイトは、襲いかかる敵を次々と倒していった。もちろん、国王軍であるならばかなりの訓練を受けているため、実力は並みではない。 それを一太打ちで斬っていくのだ。 「くらえ!」 「…いやです」 降り下ろされた剣を、刀で受け止める。 左足を相手の懐に入ると同時に腹を斬る。その間1.5秒。斬った刃を上に向けると、丁度別の相手の一撃を受け止めた。 華麗に回り、即座にアキレス腱を断ち切ると、その勢いのまま別の相手の首もとを斬る。早すぎて目に止めるのも難しい剣撃が、次々に軍隊を襲う。 同時に三人斬りかかってきたので、刀を地面に突き立てて、氷柱を生やすと相手が退いた。上から竜巻を放ってきたので、すぐに回避。 五感に感じる全ての動きを能内で高速処理し、最も効率の良い動きをする。その速さは常人とは比べられない。 また一人、攻撃をかわしながら斬ると、援軍が来ているのを見た。 「はぁ…しつこいですね」 最初にいた小隊二つはすでに斬った。あと一人で三つめだ。 背後にまわり、刀を降り下ろしたとき、 「…よっ、レイト」 「お久しぶりです…」 ジェントの長剣がそれを阻んでいた。 【*前へ】【次へ#】 [戻る] |