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小説
ニ話:やり過ぎだ


「じゃあ行くぞ?」

「よろしくお願いします」

スカイルさんに掴まって、俺とシュードとレイトは城からまあまあ遠い地域に移動する。
これも作戦の一部だ。

目を開ければ、見たことのない街の景色が。昔スカイルさんは来たことがあるらしい。
俺たちの街に比べて、やはり少し貧しく、寂れたような雰囲気が漂っていた。ここは小通りだから、こんなものかもしれない。

「んじゃ、街中に現れて脅かしてこいよ?」

スカイルさんはここで待っていてくれるらしい。俺たちは、大通りに向けて歩き出した。


次第に雰囲気が明るくなっていく気がした。それは街中特有の匂いや騒音だったりするわけだが、久しぶりの外にウキウキしている俺たちの心も含まれていることは否めないだろう。

道を2、3ほど通れば、大通りが見えた。人通りが結構多くて、一度みつかればパニックになるだろう。

フラッと、大通りに出てみた。騒音というか、賑やかな音がそこら中からしていた。

すると、

「キャアア!」

という甲高い悲痛な叫び声がした。そちらを見れば、一人の若い女性が、こちらを指差していた。


みんなの視線が集まった。そこで、レイトが一言。


「早く逃げないと…殺しちゃいますよ?」

刀を全て抜き終わる前にその通りはパニックになった。みんながみんな、必死に逃げようとしている。本当に殺すわけないのに、とシュードはぼやいていた。
しばらくすれば、国王軍が来る音が聞こえてきた。笛を吹きながら、近づいてくる。

いくら城から離れた地域だとはいえ、国王軍の実力は本物だ。すぐに逃げ出す。

角をいくつか曲がって、スカイルさんのいる通りに出た。スカイルさんは壁に寄りかかって煙草を吸っていたが、俺たちをみて手を差し出す。

後ろからは国王軍が追ってきているようだ。急がないとマズイ。

三人の手がスカイルさんに触れた途端、俺たちは組織の居間に戻ってきていた。

「あんなんで大丈夫なのか?」

「噂なんて勝手に独り歩きしてくれますから。スカイルさん、ありがとうございました」

「別に今さら礼は要らねーよ」

スカイルさんは外に出ていった。煙草を吸うつもりだろう。組織の中で吸うとヤードさんが五月蝿いらしい。

「にしてもレイト、ちょっと物騒じゃん?」

「そうですか?まぁ、刀を抜くのはやり過ぎかもしれませんが…」

「殺しちゃいますよ?って最早サイコパスだからな?」

レイトの思考が読めなくて、ちょっと怖かった。

まぁでも作戦は成功して、次の日には国に報じられた。

『指名手配中の凶悪犯罪者 遠い街に現れる』


凶悪犯罪者って…


やっぱりレイトはやり過ぎたと思う。




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あきゅろす。
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