小説 九話:手がかりなし しばらく、なんとなくスカイルさんの部屋に留まっていると、スカイルさんが口を開いた。声はまだ少し渇れている。 「フレイド…」 「なんすか?」 「どっかで聞いたかもしれないが…予言ってのを知ってるか?」 予言… そういえば前に、Xが言っていたのを思い出した。 「まぁ…内容とかは知らないすけど…」 「そうか…」 するとスカイルさんは黙ってしまった。自分から話題を振っておいて、なんなのだろうか。 「…いや、なんすかいきなり…」 「…実は、その予言を国内で唯一聞いたのは、…俺とヤードとジェントなんだよな…だから、俺たちはいつかお前たちに話さなきゃならねぇんだよ…」 「国内で唯一…って、なんでですか?」 「詳しいことは…また今度だな…みんな集まった時でいい…」 スカイルさんはゆっくりと横になり、目を閉じて寝てしまった。 起こそうかと思ったが、なんかその気にならなくて、予言の内容は気になるけど、寝かせておくことにした。 部屋を出て居間に戻るとみんなが机に群がって何かをしていた。 「…うわこれあの有名な舞台俳優だよねw!」 「完全に個人情報が流出されたな」 「こんなんで犯人は分かるのか!?」 「タクトさん声デカイ!」 「シュード、うるさい」 「皆さん静かにしましょう…ヤードさん…」 「黙りなさい」 どうやら、皆でヤードさんが持ち帰った書類を見ているようだ。皆で見る必要はないのだが。 「あ、フレイドくん。どうぞこちらへ」 レイトが明けてくれたスペースに割り込む。 嗚呼…人口密度が高い… 「なんか見つかったのか?」 「いえ…逆に、王子を殺せるような人は一人もいないことが判明しました」 そのとき開いていたのは国王のページ。 《地質操作》 《過去70年に渡ってこの国を納めてきた国王陛下。その能力は絶大で、この世のすべての地形を操ることができる。王子殺害の可能性2%》 この能力の欄を見ると、王子殺害の可能性が書いてある。何を基準にしてるのかはわからないが、この確率はちゃんとした数値らしい。 「最も確率が高いのは、国王軍の一人、ジルバ、という女の人らしいですが、王子を殺害の時刻には厨房に居たことが目撃されています」 その人のページには、人間にとって有害な毒を作り出せると書いてある。確率は20%。まぁまぁだ。 「…真犯人はわかんないか…」 「はい…」 レイトは残念そうな顔をしていた。 【*前へ】【次へ#】 [戻る] |