短編
1
いつものお店のバーで1人
酒の力でぐてんぐてんに酔っ払って
視界がうねり始めた
いや、俺の頭がグラグラと回っているのか?
考えるのも億劫になり
カウンターに突っ伏して目を閉じる
時計の秒針の音が聞こえる
カチ
カチ
カチ
カチ
一定のリズムを刻むが
その音は小さくなったり大きくなったりとまばらだ
きっと俺の耳がいかれてるから
コツ
小さく靴音が聞こえ
俺の目の前に影がさす
そっと目を開けるといつもの男
顔は逆光で影ができてみえない
それもいつものことだ
優しく頭をなでらる
髪の間に指を差し込むように
そっとおでこから後ろにかけて撫で上げてく
そして軽く髪を引っ張られる
それが合図となり
俺はもつれる足を必死に奮い立たせたち上がる
それでもヨタヨタとおぼつかない足取りの俺を男はがっしりとした腕で支えて
そのまま店をでた
向かう先はいつも通り
バーの向かいのラブホテルだ
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