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短編
2
それから俺はマネージャーを抱くようになった

「先輩はいつもどんなことしてるの?」

中指をクッと曲げるとマネージャーが身をよじる

「先輩はイクときどんな声をだすの?」

中に入れると歓喜をあげるかのようにマネージャーが叫ぶ

先輩が見てる物
先輩が聞いてる声

先輩が五感で感じるていた物を俺も感じている

俺は今先輩になれているのだろうかーーーーーーーー



「惚れてたのか?」

声が震えている
目が少し赤く潤んで泣きそうな顔をしている

先輩、泣きたいなは俺のほうだよ

「なぁ、いつからだ?」

現実から目をそらすようにギュッと目をつぶる
俺を殴った拳がかすかに震えている

先輩、今頭の中は俺のことでいっぱいか?


「…答えろよ」

「先輩はマネージャーの事好き?
愛してる?」

すっーーと先輩が俺を見る
先輩の茶色い目の中に俺だけが映っている
マネージャーは映らない

「いや…」

それを聞いた瞬間にマネージャーが泣き出して俺に抱きついてきた

腰に回された腕をやんわりとほどき

「俺も好きじゃない
愛してない」

先輩の目をジッと見つめて言う

先輩はマネージャーを愛してない
俺もマネージャーを愛してない

「一緒だね、先輩」

俺はまた先輩と同じになれた

泣き崩れて怒りだすマネージャーを可哀想だとは思わない
目障りだとも思わない

だって先輩もそう思ってないから

俺にはわかる
先輩が何を考えているのか

先輩は俺ががわからなくて仕方がないって思ってる
だから俺も俺がわからない

でも、これだけはわかる
俺は今最高に幸せだ

先輩も俺が今最高に幸せだってこと、わかってるはずだ

だって先輩の思考は俺の思考で
俺の思考は先輩の思考だから



だから俺が先輩に惚れてるって思考が先輩に伝わるのはーーーーーー




ーーーーーーーーーー
一つになれないのならば同じになればいい





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あきゅろす。
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