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■小説
■Web拍手お礼SS:1【hand】



【hand】



「何だよ」
「……いや、何でもねえ」

事後の心地良い微睡みの最中、XANXUSの手を見詰めていたスクアーロは緩く頭を振った。そんな一言で誤魔化せる相手では無い事は、彼自身、良くわかっていた。XANXUSが再び尋ねる事は無かったがその代わりに、今しがたスクアーロが眺めていたその手で顎を掬い上げた。手馴れた仕草に“飴”と言う名の餌をぶら下げて、XANXUSは向けられた灰銀を覗き込む。

「……手、」
「オレの手がどうした」
「好き、だぁ……おまえの手、好きだ。ただ急に、そう思っただけ」

「……そうか」

微かに掠れた声で小さく呟いた後、スクアーロは瞼を伏せて目を逸らす。その顔を見詰めていたXANXUSは徐にスクアーロの唇へ指先を這わせた。薄く、柔らかな其処を二度三度なぞると、同じ数だけキスを受け取る。
悪く無い反応に気を良くして、口内へと三つ指を押し入れた。

「ん゛ん……、ふ……ぅ゛、ン」
「もっと巧くしゃぶれよ、……好きなんだろう?これが」

投げられた言葉に反応して僅かに双肩を揺らすと瞼を持ち上げた。絡み合う視線に胸を締め付けられ、指に施すそれは奉仕を思わせて――内側にはまた、欲の炎が燻り、燃えた。零れる水音と共に溢れた唾液が顎を伝って、首筋をも下っていく。
次第に口内のそれに物足り無さを感じて、弱く歯を立てた。


「ほう?もう足りねぇのか、カス」
「ん゛ん……、」
「どうした、言えねーのか?」

「……はっ、XANXUS……してえ、……おまえが、欲しい、」

添えた右手でXANXUSの手を僅かに引いて口内から指を抜き去ると、出したばかりのそれを根元からゆっくりと舐め上げる。一度、二度と緩慢に繰り返す愛撫の合間にポツリポツリと欲を孕んだ囁きを溢した。
向けられた瞳は挑む様に獰猛な光を放つ。

「はっ、上出来だ……くれてやる、」
「XANXUS……」
「受け取れ――ドカスが!」

「う゛ああ゛ア――……あっ、ア、――ッXAN……ざ、」

ベッドへ沈んだ身体は陸に上げられた魚の様に跳ね、苦し気に啼いた。堪える様にシーツを掻いてもがきながら、懸命に酸素を取り込む。そんなスクアーロに自らの腰を打ち付けるXANXUSは、いつもの様に唇を塞いで舌を絡め取った。息苦しさから微かに抵抗を見せるスクアーロを押さえ込む様に口内をも侵して、その全てを支配する。
そして、左手でスクアーロの生身の手を掴み指を絡ませる。顔の横で重なり噛み合ったそれに気付き、スクアーロは顔を歪めて苦し気に笑い掛けた。言葉は無くともその胸の内を読むのは容易い。

XANXUSは回していた右腕で、一層とスクアーロを抱き寄せた。





「……なあ、」
「何だ」
「おまえの手、好きだ」
「さっきも聞いた」

「手と同じくらい、おまえの全てが好きだぜぇ?」
「知ってる」
「そうか」


「“今更”だろう?」


-END-




ボスの手はエロい!(※いきなりテンション高)……ので、何となく思い付いて書きました。(笑)
スクは奉仕の最中、ボスと目が合うのが好きみたいです。

ここは恥じらうべきだったか、否か。

――2010.02.23.

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あきゅろす。
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