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片羽フラクタル
4

ブン太「ジャッカル、気をつけろぃ!」
ジャッカル「すまん、助かったぜ」

ジャッカルの背後に迫っていた敵を棍棒で薙ぎ倒しブン太が叱責する。ジャッカルがお礼を言いながら眼前に迫った敵を殴り飛ばした。
騎士団の戦況はすこぶる悪かった。敵の数が予想以上に多かったことと、砂地での戦いに慣れていないことが原因だった。

ブン太「地面がさらさらしてて踏ん張りがきかねぇ!」
ジャッカル「短期決戦にしろと言われてもこれじゃかなり無理があるぞ!」

背中合わせに向かってくる敵と最前線で対峙している二人だったが、その疲労はピークに達しており厳しい状態だった。
その時、ジャッカルの鳥の如き目が戦場の遥か先、敵の陣地に立つ一人の少女の姿を捉えた。見覚えのある風に靡く金色の髪にジャッカルは思わずその名を発した。

ジャッカル「伊与…!?」
ブン太「え」

その小さな呟きは風にのってブン太の耳に確かに届いた。ブン太は目を見開き、動きが止まる。

ブン太「伊与…?今、伊与って言ったか!?」
ジャッカル「あ、ああ。一瞬だけだったが敵陣に伊与がいたように見えたんだ」
ブン太「伊与が…いる…」

ブン太はヨロヨロとよろめき、敵の陣地が位置する方向を見つめた。ブン太の目には伊与の姿は映し出されない。それでも確かにこの先にいるのだ。
それを理解するとブン太は突然走り出した。


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あきゅろす。
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