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片羽フラクタル
3

あきな「…本当に大丈夫かしら」

テント内であきなが心配そうに戦場へと駆けていく姿を見送っている。女の身である限り戦場に立つことは許されない。危険だからではない。足手まといになるからだ。

千歳「大丈夫ばい」
あきな「千歳!あんた、此処にいていいの?」
千歳「良かね。今日の俺の役目はあきなを守ることばい」
あきな「…ありがと」
千歳「礼には及ばんね。俺が好きでやっとうことばい」

そう言うと千歳はニッコリと笑って、あきなの頭を軽く撫でた。

あきな「…子ども扱いは止めてくれないかしら」
千歳「いて」

頭を撫でられるという行為に慣れていないあきなは、千歳の手をはたき落とした。それでも千歳は決してあきなを馬鹿にしたわけでなく、待つことしかできない無力な自分をいつも卑下しているあきなを励まそうとしたのだ。

千歳「あきなは充分俺たちを助けてくれとーよ」

邪気のない子どもっぽい笑顔を向ける千歳に、あきなは気恥ずかしくなり俯いた。何だか涙が出そうだ。

あきな「…伊与や零は今頃どうしてるいるのかしら」
千歳「あきな…」
あきな「…なんで、こんなことになったのかしらね…昔はみんな仲良く暮らしていたのに…どうして」
千歳「何もかも一瞬で変えてしまう。それが戦争ばい」

千歳の言葉にあきなはぐっと唇を噛んだ。脳裏に浮かぶのは楽しかった過去の日々。もう二度と戻れない幸せな日々。

嗚呼、願わくば神様。
もう一度平和を夢見させてください。


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あきゅろす。
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