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Came Back the Unusual
3
「お前、どうしてこんな所にいるんだ」

「それがさ、突然の移動命令。ね?折原臨也さん?」

先程目の前から姿を消していた臨也は口角を上げてはいるが、目元は冷たいままの表情で少し離れた所に立っていた。
それと同時に静雄に青筋が浮かぶにも時間はかからず、今にも殴りかかりそうな彼の前にすっと割り込めばそれを阻止。

「やだなー、俺を疑うの?まぁ確かに今迄の事からすれば一番初めに疑われるのは俺だけど、だからって俺が君を池袋に呼び戻す理由が其処にあるかどうかを考えれば否、だよね。」

呆れたように溜息を吐いて肩を竦める臨也に対し、黎は鼻で笑った。それはまるで証拠があるからお前を疑っているんだと言わんばかりの表情で、臨也のへらへらとした態度は一変し相手の思考を読み取ろうと彼女を見つめた。










あぁ、本当に食えない子。


人間は思い通りに動く時もあれば、そうでない時もある。しかし大抵の人間は自分の掌で踊ってくれるにも関わらず、目の前にいる静雄と黎だけは別で、一度も臨也が思った通りには動いてくれたことはない。
それに歯がゆさを感じなかったこともない。


「つい最近あったひと騒動、根本の原因が表立っていない事ぐらいあんたと長い付き合いであれば予測がつく。あまりにもタイミングが神がかってたんだから、偶然なんて呼ぶには可笑しすぎる。もしそれが偶然でないと仮定すると、誰か同一人物が裏で操作していると考えるのが妥当じゃないかしら。直接本人達に、じゃなくても何処かしらで、ね?」

はっきりと騒動の名前を告げたわけでも、その犯人が誰かと公言したわけでもない。寧ろ濁した言葉に舌打ちせざるを得ないのは、相手-黎-もまた自分と同じ側の人間で、それ以上に厄介な事がそれを彼女自身が好んでいないということである。

情報屋の世界にはもちろん、どのよつな世界にも暗黙のルールはある。
それを黎は捨ててもいい、寧ろ必要としていないのだから些か面倒だ。


痺れを切らしたのか、黎の肩に手を置き前に出てくる静雄も、やれやれと呆れて肩を竦める彼女も、なんと面倒な人間だと思うも、それがまた自分のゲームを楽しませる駒であることに違いはない。


「もう少し遊んでいたかったけど、どうやら俺はそろそろ時間みたいだ。黎ちゃんも帰ってきた事だし、またこっちには来るからその時に話そうか。」


臨也の言葉が先に終わるか、それとも静雄が拳を握り猛突進したのが先か、細かい事は分からずとも、その場に臨也の姿が見えなくなったのは確かな事実であった。


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