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Came Back the Unusual
2
「お前、何私に触ってんの?」



腹を殴られた事により一歩下がった臨也に対して冷たい視線を向けてそう告げれば、にっこりと笑った臨也は久しぶり、なんて声をかけてきた。



「5年と少しぶりだよね、俺と君、それにシズちゃんがこうやって池袋に揃うなんてさ。高校卒業と同時に地方に早々と去ってしまった君の情報はもちろんある程度入手しているし、池袋を去った理由も俺が原因というのは重々承知しているけれど本当にそれだけかふと疑問に持って、もしかして君は俺に惚れていたという結論に至ったけどあっているかな?」



まるで数学の答え合わせをするかのように尋ねてくる臨也に対して黎の眼はさらに冷たくなっていく。




「そうね、間違ってはない。でも一つだけ自惚れさんに教えてあげる、一度だって貴方に惚れた記憶はないし、そもそも私の初恋は彼に-平和島静雄-に捧げているの。何を勘違いして貴方に惚れているという結論に辿り着いたかはわからないけれど、それ以外は間違いはない。それと、臨也、そっちが私の情報を持っていたように私も貴方については少し調べたってことはちゃんと考えた?ねぇ、最近池袋で増えた失踪事件って貴方も関わっているんでしょ?奈倉さん、それとも甘楽さんとでも呼べばいい?」



まるで新しい玩具を見つけたように目を見開いて口角を上げて笑う臨也の表情とは裏腹にしまったと、口元を引き攣らせる黎は一歩後ろに下がっていくが、それを詰めるように近づく臨也。




どうすれば逃げられる、まだ平凡な日々に戻れる?


ふと過る思いに気を取られ背中に当たる冷たい感覚に息を飲む。それをチャンスとばかりに顔の横に手を置いて自分に近づく綺麗に整った顔。



ぎゅぅと咄嗟に目を瞑れば鼻で笑った声が耳に届き、それと同時に片脚を上げて相手目掛けて振りかざした。
だが、それは空を切り瞼を開ければ黒髪の彼ではなく、黒髪を探して駆けつけた金髪の彼が背を向けて目の前に立って、そこ目掛けて蹴りは打ち込まれようとしていた。



「っ!?」



ぐっと力を入れて必死に止めようとするも間に合わない。



「しずおっ、!」



止まらない脚の変わりに音となった声に背を向けていた金髪の彼-平和島静雄-は気がつき、咄嗟に腕で黎の蹴りを受け止めた。


この間0.8秒。




「あぁ??…って、黎じゃねーか」



蹴りを食らって相手を威嚇するのは当然、しかし相手を認識すると威嚇よりも唖然としてまるで頭上に疑問符をつけて首を傾げる。


ごめんごめんと手を顔の前に出して謝罪を述べればお、おう、なんて歯切れの悪い返事が返ってきたため、黎も苦笑いを浮かべるしかなかった。



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