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突然!?
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柳平は今の自分の状況を考えてみた。
好きな子と好きな子の部屋で2人きり。

「………」

「どうしたんですか? 顔、赤いですよ?」

実は、シチュエーションに滅法弱いタイプだった。

「この部屋暑いですか? ストーブ消しましょう?」

「だ、大丈夫、エロいことは考えてないから!」

「エロいこと!?」

「結構自分なりに勉強したけど、今は実行しないから! 大丈夫!!」

「何を勉強したって!?」

「何ってナ「黙れこの野郎」―痛いっ!?」

柳平の発言の途中で、浅日が足でツッコミを入れた。

「大丈夫か? 寿」

「あ、うん、大丈夫…俺は」

「そうか、なら良いさ。夕飯の用意ができたぞ」

「マジでか! 餅巾着は?」

「しっかり入ってる」

「やった! 手伝ってくれて本当にありがとうな」

「いや、気にすんな」

「…ちょっ、オレのこと忘れてる!? お前もいい加減足を退けろ! 痛いんだよ!!」

「知るか」

会話の間、ずっと柳平を踏み潰しっぱなしにしていた浅日だった。


「あ、柳平先輩もご飯食べて行ったら?」

「本気か?」

「うん。どうせ母さんのことだから、柳平先輩の分もあるんでしょ。それに、今日は鍋物だし」

「………まぁな」

「え、本当!? お義母様にもご挨拶しないと」

「おい待て、『おかあさま』ってどういう意味だ!?」

弾ける柳平に食ってかかる浅日。
この2人の相性は良くないようだ。

「もちろん、そのままの意味! じゃ、先に行くよ、寿君!」

「おいコラ、だから待てって!!」

ちゃっかり寿の名前を呼んでいた。
どたばたと2人が階段を下りて行く音を聞きながら、寿は独り言を呟く。

「おれの方はまだ、柳平先輩の名前知らないや」

後で訊こう。
そう決めた寿は、面倒臭そうで騒がしそうで、けれど何処か楽しげな今後を予感していた。
だが、全く良くない意味で女子の注目を浴びまくるだろうこれからの大学生活を考えると頭痛がした。






























……惚れたきっかけなんて、
言いたくなかった。
惚れてる理由も、言いたくない。
だってそこには、
情けない自分がいるから。
今はまだ少しだけ、格好つけたい。
だから、もうちょっとだけで良い。
もうちょっとだけ、
内緒にさせてくれないかな――?


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