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突然!?
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大学から家までの距離は近い。近いと言っても歩けば90分は下らないところだ。しかし、バスを利用してしまうと、乗り換えの関係で更に時間がかかってしまう。

そのため、登下学には自転車に乗ることが常だった。

だが冬はそうもいかない。
雪が降り積もれば、自転車に乗ることが困難になる。雪道でも構わず自転車に乗る人間もいることはいるが、寿にそのような技術はなかった。

そして選んだのが、バスである。

大雪のせいで失われた、バス停までの道のりを踏み締めて進んだ。
当然、バスでは遅れるだろうが、このような事情なのだ、大学側も認めてくれるだろう。

バスを降り、またも雪に足を取られながら進んだ。
何処かへ行くためにここまで苦労したのは初めてのことだった。
高校も自宅に近いところだったため、雪道をバスで移動することはなかった。

晴れてはいたが、50cm以上の積雪は十分に障害となる。

しかし、やっとのことで辿り着いた大学が寿を迎えた言葉は、余りに非情なものだった。










『雪も突然!』










呆然としたまま寿は、コートのポケットに入れていたケータイの電源ボタンを押した。
起動してすぐに、発信履歴から電話をかける。

相手は3コールで出た。
挨拶より先に口にした言葉は、


「おれ馬鹿だ、凄い馬鹿だ」


だった。
おはようの代わりにしてはおかしな言葉だったが、通話の相手――浅日はあっさり受け流し、


『今更気付いたのか、本当に馬鹿だな』


と返した。
寿に対してこのような返しをするのは珍しいことだったが、呆れた口調で言っているため、けなしているのでないことは分かる。


『散々連絡してやったのに、今の今まで全く気付かなかったってのは何があったんだ?』

「ケータイの電源、切りっ放しだった…」

『…阿呆だろ』

「ごもっともです」


嘆息しながら言う浅日に、反論する言葉を持ち合わせてはいなかった。

大学に着き、疲労した寿を迎えたのは、



『本日 休講』



の張り紙だった。
詳しく読み進めると大雪のための措置らしいことが記されていた。
しかも大学のサイトに同じ連絡が乗っていたらしい。

たまたま気まぐれで、充電した後に電源を入れずに家を出てしまっために、気付かなかったのだ。
浅日はサイトの連絡を見て早々に気付き、念のために寿へ連絡をしていた。
だが、案の定、寿は大学へ来てしまっていた。


「あーあ、こんなことやってるの、おれくらいなんだろうな。恥ずかしいよ。皆、ちゃんと知ってたんだろうなぁ」

『だろうな。まぁ、あんまり気にすんな。今日はもう帰って休めよ』

「おう…いや、タクのとこ行っても良い? 自分の家に帰ったらひたすら落ち込んでそう」

『あー………悪い。今日、バイトが入ったんだわ。車が動けないとか何とかで、徒歩圏内の俺が代わりに呼ばれたんだ』

「こんな日でも開店するんだ」

『飲食店なんてこんなもんじゃないのか? 客がどれくらい来るのかは知らないけど』

「そんなもんかぁ」


浅日と会話しながら、大学の敷地を出てバス停への道を戻る。だが少し歩いただけで立ち止まってしまう。
つい先程まで逆方向へ歩いていたと思うといたたまれないものがあったが、寿が足を止めたのはそれとは別の理由だった。


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あきゅろす。
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