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突然!?
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「タクちゃんも良い子よねぇ。タクちゃんが旦那様でも、たもっちゃんは幸せになれるわー」

「はぁ、ありがとうございます」

軽く受け流す浅日。
母と浅日の間でこのようなやり取りがされるのは、今が初めてではない。
これまで何度もしている。
寿も浅日も慣れたものだった。
簡単に流してしまう。


だが、そうもいかない男が1人。


「お義母様! 皿洗いはオレがしますから! 寿君の旦那に相応しいのはオレです!!」

「あら、嬉しいわー。だけどお台所は狭いのよねー…」

「では別のことでも! 絶対、オレの方が浅日より役に立つんで、何でも言いつけてください!!」

「本当? それならお願いしちゃおうかしら。玄関掃除と、この部屋の掃除と、あと卵を切らしちゃったから、お買い物も頼めるかしら?」

「お任せください!!」

素直に玄関へ駆けて行く柳平。
仕事を頼んだ母は、いつもと変わらない暖かな笑顔でコーヒーを啜っている。


「…気のせいかな、母さん」

「なぁに?」

「おれと父さん達でやるはずだった家事が全部、柳平先輩の仕事になったような気がするんだけど…」

家木家では、土日の家事を男で分担し、母の仕事量を減らすことになっている。
だが、今日は父も弟もいない。
その分を一まとめに任せてしまったのだ。


「ふふふ、あっきー君は本当に良い子よね」


はっきりとした答えを聞くことはなかったが、笑顔の裏に息子は何かを見た。

「母さん…」

「ふふふふふ、あっ、お買い物はたもっちゃんの担当だったから、たもっちゃんも一緒に行くのよ?」

付け足された言葉を聞き、何処から何処までが計算なのだろう、と溜息を吐く。
母親という生き物は最強なのかもしれない。



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