捨てられぬ恋心 、完 いつも笑顔なお前が俺は 、 「 っ.. 」 灰吏が泣いた、 いつも笑顔な灰吏が初めて 俺の前で泣いた。 灰吏の口から出てくる言葉に 俺の胸がきゅう、と痛んだ。 灰吏の腕を掴み突っ立って黙っていたら 灰吏は俺の腕を振り払い 背を向け逃げるように走っていった。 「 はいりっ.. 」 少しの間呆然としていたが は、と我に返り灰吏の名を呼びながら 俺は灰吏を追い掛けた。 「 灰吏っ、灰吏っ! 」 やっとの思いで灰吏に追い付くと 俺は壊れたように灰吏の名を呼び ぎゅ、と離れぬように 抱き締めた。 「 っんだよっ..、なせっ離せよっ.. 」 シタバタと腕の中で暴れる 灰吏を強く抱き締めたまま 頭を優しく撫でた。 「 灰吏っ、灰吏っ、 」 灰吏が落ち着くまで 名を呼びながら抱き締め続けると ちょっとずつ灰吏が落ち着いてきた。 「 ううっ..ひっくっ.. 」 泣き声を漏らす灰吏に また胸が痛んだ。 灰吏の髪に顔を埋め隙間なく密着した。 「 灰吏、ごめんな 」 「 ごめんってなんだよっ.. 」 「 俺が間違ってた 」 「 へっ..? 」 俺の急な発言に 灰吏はさっきまで流していた 涙を引っ込めぽかんと口を開けて 意味が分からないというような 表情をしていた。 なあ、灰吏 今から言うこと すっげー、自分勝手かもしんねえ だけど、これだけは 分かってくれ。 俺の恋人はお前だけだ 他のやつなんていらねえんだよ。 ( Back ) ( Next ) [戻る] |