捨てられぬ恋心 、完
言えるよ 。
ドンッ
逃げるように走って屋上から
飛び出したおれは廊下の回り角で
誰かとぶつかった。
「 いっ.. 」
ぶつかった相手がおれより大きかったのか
おもいっきり尻餅をついた
そのせいでお尻の方が痛かった。
「 っ、だいじょ.. 」
おれが俯いていた顔をあげると
ぶつかった相手は心配の声を掛けようと
したのだろが途中で言葉が詰まり
固まっていた。
おれも相手の顔を見るなり顔が固まった。
「 っ、灰っ..、お前かよ 」
そう、ぶつかった相手は綺羅だった。
「 っ..、ご、ごめっ.. 」
綺羅はおれと確認すると
視線を冷たくさせた。
なぜだろう、あれだけ泣いたのに
涙が出てきた。
綺羅に涙を見せぬように
顔を俯かせ立ち上がり去ろうとすると
腕をぐい、と掴まれた。
「 っ、まてよ、泣いてんのかよお前 」
「 っ..、き、ら..、かいちょーには
関係ねえじゃんっ 」
綺羅に見られぬように涙を拭って
顔を綺羅の方に向けて
なんとなく綺羅の名前を呼ぶのが嫌で
かいちょーと呼び直すと一瞬
綺羅の目付きが悲しみと複雑な感情が
交ざった目をした。
「 っ..関係なくねえだろ 」
綺羅の発した言葉に
今まで堪えていた感情が爆発した。
「 っ、んで.. 」
「 あ..? 」
「 なんでっ、なんで、
んなこと言うんだよっ、
誰のせいだとっ..!
綺羅から別れろ言ったくせに
なんで綺羅がんなこと言うんだよっ! 」
「 っっ..! 」
「 俺の恋人はお前だけだとか
言ったくせにっ..!
綺羅から別れ告げたんだから
期待させるようなことっ、す、んなよっ.. 」
今に涙が溢れだしそうなのを
なんとか堪えるも最後の方は声が震えていた。
「 お、れはただ綺羅っ、が
す、きなだけなっんだよっ..
なのにっ..、綺羅のばかっ.. 」
涙を堪えていたがとうとう限界に達し
涙が溢れだすと同時に
綺羅の手を振り払い背を向け
逃げるように走った。
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