捨てられぬ恋心 、完
愛してると 、
「 っ..、はあ、やっぱり綺羅も小さくて
可愛い奴が良いのか? 」
あのあとご飯を食べずに屋上にきていた
編入生の容姿を思い浮かべ自分の容姿と比べる。
編入生の容姿は
染めて傷んだ金髪に碧色の目に
小さくて守りたくなるような容姿
正解は容姿を裏切り
良く言えば天真爛漫で曲がったことが嫌いで
悪く言えば無神経で我儘で品がない子
おれの容姿は
母から譲り受けた遺伝子で
ブロンドの髪に茶色の目
身長は175くらいあって
顔は中性的な感じ。
おれには編入生くんを好きになる
理由がわからない
だってあの編入生くん品がないし
餓鬼丸出しだもん。
でも、そーゆうところ全部含めて
綺羅は好きになったんだろーなあ...
「 すき..、なんだよ 」
小さな声で憎いほど青く晴れる空に
向かって呟いた。
「 どーしようもないくらい
すきなんだよ、ばか.. 」
「 ふーん、あいつのことまだ好きなんだ? 」
突然後から声がした。
「 へっ? 」
声のした方に顔を向けると
風紀委員長の皆木勇姿が居た。
「 あんな男のことまだ好きなんだ? 」
唖然としていると気付けば皆木勇姿が
おれの目の前まで来て
おれを逃がさないという目付きで
フェンスと皆木勇姿の間に挟まれた。
「 っ、そーだよおれは綺羅のこと
好きだよ、それがなんだよ 」
「 別に?あんな男なんて止めて俺にすれば? 」
「 は? 」
「 くっく、その顔も良いな 」
この男あろうことかおれの
口にキスしてきやがった。
「 っ、なにすんだよ 」
唖然とすると皆木勇姿は
意地の悪い笑みを浮かべた。
その笑みでは、とし咄嗟に皆木勇姿を
突飛ばし睨み付けた。
「 ほんっと、猫みてえだな 」
おれの睨みに動じることなく
皆木勇姿は再び笑みを浮かべた。
「 ちっ、おれは綺羅が居れば十分なんだよ 」
「 あいつは、他の男に現ぬかしてんのにか? 」
「 っ..、うっせえ!おれは綺羅が転入生に
現ぬかしていても、好きには
変わりはねえんだよ 」
図星をついてくる
皆木勇姿をき、と睨んだあと
背を向け屋上から逃げるように出た。
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