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買いかぶり過ぎだ

「サメラさん?」
「…ん?セオドアか?その声は。」

そっと扉が開かれて、声の主が顔を出した。幼い顔をした少年は、やはり片割れの血を受け継いでいることもあって、片割れに似ている。

「ここにいらっしゃったんですね。」
「…お前は、アイツについて行かなかったのか?」
「え。ちょっと頼まれごとをしてたんで。」

カインさん…部隊長に。と、ローザの面影が浮かんだ。やはり、親子か。なんて思いながら、サメラは腰を浮かせて、未だつけていなかった高級そうなランプに灯りを手にした。私には不相応だな、と思いながら、そっとその脇に置かれたいつもの使いこんだランプに手を伸ばした。

「サメラさん。となりのランプのほうがよく点きますよ。」
「そうなんだが、まぁ。こっちのほうが好きなんだ」

使い慣れたランプに火をともして、机の上に置く。その火に導かれるようにセオドアが椅子に座るのを見て、茶を用意する。

「ホットミルクがいいか?」
「お茶でいいです。」
「なんでもいいということだな。」

お茶でいい、ということは限りなくお茶にミルクを突っ込んで、セオドアに出す。ついでに自分にも継ぎ足して、机を取り囲むように、椅子に座った。

「ほんと。父上の言うとおりだ。」
「なにがだ?」
「父上も、母上も、サメラさんのことをいつも言っていました。」

一番のよき理解者であり、支えてくれる人であり、先の大戦もこの前の大戦も一番戦陣に立って誰よりも、仲間のことを考えて。父や母がお互いを思いあう人と、親友と同じぐらい大切に思わないと、自分のことを後回しにするから厄介な人とだとも。

「この前の大戦は私は何もできなかった。買いかぶり過ぎだ。」
「父上も、カインさんも、みなさんもサメラさんを素晴らしい方だと言っていました。パロムさんやポロムさんも憧れて貴女の様な人になりたいとおっしゃっています。」
「…それで、なにがいいたいんだ?」

周りの方はみな、そう言っていました。リディアさんもエッジさんも。ギルバートさんも。シュトラールさんに似ているとおっしゃっていたので。

「…実際に会いに来たと。」
「父上も、母上も、またサメラさんがどこかに行ってしまうのを恐れているので。」
「見張りということか?」
「今晩は、部隊長からも念押しされているので。」
「ふーん。」



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あきゅろす。
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