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ゼムスを倒すために、月の最奥に向かう旅。昼飯の食休みから、そろそろ動こうかと、話が出てきてサメラがいないことに気がついた。

「サメラ?」

周りを見回しても見えない姿に、セシルは眉をひそめた。「サメラならあっちにいたよ」とリディアの指差した先には、ちょうど岩陰に布がかすかに見えている。

「起こしてくるね」

すぐ出発するから。と言葉を放ち岩陰の向こう側にい居るサメラの顔を覗き込んだ。
岩にもたれて瞳を閉じて、眉根を寄せて唸っているように見える。いつもより眉間のしわが少ないように見えて、何を夢見ているんだろう。とセシルは少し考えた。彼女と兄弟だと聞いて、正直戸惑いも覚えた。こともあるし、嬉しさもこみ上げた。
血のつながった家族がまさかいたなんて。それもこの旅の近くに。
手掛かりなく、家族を捜していた君の僕-家族-が、加瀬になって苦しんでいたなんて、もしかして付きで話したときにしゃべりかけようとしたのはこのことだろうかなんて、セシルもサメラも分かり合うことはできない。

「サメラ?」

手を伸ばしかけた時、サメラの目がギンと開いてmセシルの眼前に鋭い歯が突き付けられた。

「セシルか。すまない、いやな夢を見たんだ」
「・・・その夢、きいてもいいかな?」
「・・・みんな・・・みんな、死んだ。」

守りたかったものですら守れず、ひたすら闘って死んでいく夢をみたんだ。広い世界に私だけが残されて夢の中でずっと闘っている夢を見たんだ。
紡ぐ言葉がしりすぼみになって、最後にもういやだ。と小さくつぶやいた。

「希望を託すといわれて、みんな、仲間が消えたんだ。」
「…ね、サメラ。夢でよかったね。」

僕はここにいるよ、とセシルがサメラの手の握り、空とも海とも違う青が目に入った。ひどく怯えた青なんて、見たことがなくて、今にも泣きそうな青なんて初めて見た。

「きっといつものサメラなら。いうよ。次は必ず助ける。ってね」
「・・・そうか?」
「きっとそうだよ。次を起こさないために僕らは居るんだから」
「・・・あぁ・・・」
「たてるかい?そろそろ次に行こうと思うんだけれど」
「」

言葉と共にサメラを無理やり立ちあがらせると、不安げに揺れる青はそこにもういなくて、落ち着いた青が見慣れた青がそこにいた。

20141123
(行くか)(そっちのほうがサメラらしいよ)(そうか)


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