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セシル一行が二度目の月の館に向かう最中の食休みに、荷物の底に空気を抜いたボールを入れてあったのを思い出した。キャラバンの子が暇を持て余した時ようになった買った訳だが、なんとなくサメラが空気を入れて手で弄んでいたら、いつの間にか、バレーボール大会になった。
バシュン。と弾丸よろしくボールが飛んだ。線を越えて、ボールの近くにいたカインがそれをすくい上げ、空たかくに押し上げた。

「サメラ。」
「応。」

サメラが高く飛び、青き星をバックに海老反りをしてからボールを線の向こうに叩きつけた。

「うわっ」
「おい、今本気でやっただろ」
「…こんなもん、本気でやらなければ、仕事にならん」
「いつから仕事になったんだ。おい。」

さも当たり前に放つサメラと不満げにツッコミを入れるカイン。そして線の向こうにセシルとエッジ。2対2で簡素なバレーボールを繰り広げていた。カインが高く飛べる有利さとサメラが女というハンデで組ませたが、サメラも跳ぶ事を忘れていたらしく、国王チームは惨敗であった。

「ね、サメラ。僕と組もうよ」
「ん、じゃあエドワード、変われ」

応。とエッジが軽く返事して、兄弟か…つえーだろうな。とエッジがボヤいたのにも関わらず、サメラとセシルのペアは悉く…否、主にセシルがボロボロなスコアを叩き出した。

「…おいセシル。お前もしかして…運動下手か?」
「…おいセシル。次回ろうぜこれで一回りだし師弟vs親友どっちが勝つんだ?」

なんて冗談めいたエッジの言葉を皮切りに、 戦い始まったのである。

「サメラ。」

エッジが拾い上げたボールを高く跳び、叩き落とすための姿勢を取った刹那、「ルドルフ!テメェ、パンツ!」と放たれて、「声に出すなっ!」とサメラの声と、ボールがエッジの顔面にたたき込まれ、叩き込まれたボールは、軽く放物線を描き結界の外に転がり出た。
ご愁傷様。と憐れみながらカインとセシルはエッジに手を合わせるのをながし見て、サメラはボールを拾ってくる。とふらりとそちらを向いて行った。

「あ、カイン。サメラについてってよ。僕はここでエッジの傷をなんとかするからさ。」
「…あいつ一人でも大丈夫だろうに。」
「え、カイン。いつからケアル出来るようになったの?まだだよね、」
「…ぐっ」

半ば脅されカインはサメラを探しに行った。




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あきゅろす。
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