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「なにが楽しくて肩も出さなきゃならん」
「おい、セシルっ!何時まで隠れているんだっ!子どもかガウェインよりもたちの悪い子どもだな!。」

かなり声を張って、ドンドンと木の扉を叩く。音を聞きつけてか、兵士たちも集まってきたではないか、とサメラは声を放てど、扉の向こうは沈黙。どうして、こう私に面倒ばかり回って来るんだと、サメラはやけを起こしながら、蹴り破るぞ!とまで脅しをかけた。
そんな騒ぎを聞きつけてか人ごみの中から、赤き翼の部隊長が現れた。

「どうした、サメラ…」
「よし、やるぞ!4回ぐらい言ったからな!文句は言わせんぞ!セシル!メテ「サメラ、城を壊すなっ!」」

振り上げた腕を掴まれて放たれかけた究極魔法は、見る見るうちに沈火された。にらまれるような視線を感じて視線をおろせば、やはりサメラは睨んでいた。小さな体に、どれほど暴れるエネルギーをもてあましているのか、がっちり押さえつけているはずの腕がぶれる。

「暴れるな!サメラ」
「お前がセシルを出したらな!ほらー。セシル、カインが怒鳴りに着たぞ!」
「…カインなんて怖くないし」
「…もっと、しっかりしろよ、旦那。」
「お前は、どっちなんだ!セシルを出したいのか?出したくないのか?」

というか、原因はなにでこんな兄弟げんかに発展しているんだ、とサメラに問いかければ小さな肩がギクリと動いた。
何か隠しているな、と判断したカインは、どうした。と顔を覗き込んだ。うつむいて反らされた視線は、うやむやにふらつく。

「黙っていることは?」
「…ない。」
「嘘吐け。」
「…もごっ…」

はぁ?と鬼の形相のカインに睨まれて、サメラは大きく声を張り上げた。

「今度の奉納祭で御子役を拒否してこの有り様だぁっ」
「お前も原因だろうが」

儀式自体にトマウマだ。と言い切るサメラにトラウマだ。と誤字を指摘し、カインは頭を抱えた。

「昔から言ってるだろうが、儀式の贄になってから儀式自体が、トラトマだと。」

それなのにアイツは、今年の御子は一番最初に結婚した新婦さんかな。って言うから、血涙よろしく探したら…

「お前だったと」
「なにが楽しくて肩も出さなきゃならん」

ふん。と鼻を鳴らして、当然の主張のようにサメラは胸を張った。





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あきゅろす。
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