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いつか、そんな親友の姉のようになりたい。

いつか、そんな親友の姉のようになりたい。家族を優先する、家族を思い続けてる。そんな人になれるかな?。なんて自分に言い聞かすように言ってみたが、隣の銀が言った。「なれるさ」と。

お前がそれを念頭において行動していたら、いい父親にな。きっと優しく強い父に。認めるように言葉をつなぐ隣の銀は相変わらず笑っている。子どもに言い聞かせるような言い方はいつもの事だと知っているから、気にする事はないとセシルは知る。

「僕がなれるかな」

まだ見たことのない父に。
まだ、会ってもない人に。
想像さえ、できない僕に。
無い、だらけのセシルが。
知らない事ばかりの僕が。
誰もが憧れるような人に。

「ねぇ、サメラ……サメラ?寝ちゃった?」

返事のない隣は安らかな寝息を立てて静かにそこにいた。真っ直ぐな銀糸、空の青とも海の青とも違う青は閉じられて規則正しい息遣いが聞こえる。

「でも、僕は父親より母親かもね」

料理も戦いもまだまだだからね。僕は君に守られてばかりだ。心も思いも。

「きっと君はいい母親になるよ」

シュトラールさん以上かもしれないね、包容する優しさも、曲げる事無い鋼の意志も、雑多に勘定する癖も。美味しい料理も、素晴らしい戦闘スキルも。でも、サメラは母親より父親かも…なんて思えばすこし笑いがこみ上げてきた。

「案外、僕たち運命だったりしてね。」
「ぐー、がががが。」

違う意味で運命なのは、しばらく先にセシルが知ることになるのは、本筋を辿れば解る話。


例えば。
例えば、僕が母親ならば。
きっと、君が父親だろう。
例えば、僕らが親ならば。
きっと、仲間が子になる。
幸せに、なれると信じて。

(っていうかサメラ鼾五月蝿い。)(ぐががががが。)(大変だったんだろうね)(ぐー)(いつもありがとうお疲れ様)(…)(サメラ?)(……)(無呼吸症候群!本物は始めて見た!)(セシル、寝れない)(あ、起きてた?)(セシルの五月蝿いので起きた)(ごめん。)(気にしない。セシルも寝ろよ。)(あ、うん。……って、僕まで寝たら誰が火の番をするのさ。)(……むぅ…リディ、ア)(サメラ、抱きつかないで…。って、サメラもローザみたいな匂いがする。やっぱり女の子だね。)(……うう〜。えど、わぁど、やめろ〜)(あ、魘されてる。)


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あきゅろす。
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