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「俺はあいつしか愛さん!」(2/2)

「入るぞー。って。え?」

サメラとカインの自宅の窓から入ったエッジは見える光景に口をあんぐり開けた。金の髪を持つ人間が柔らかなベッドの上で眠りについていた。…女物の衣装を着て。

「…カイン。だよな?」

俺、入る家間違えたか?唸りながらベッドで眠る主を見つめた。長いまつ毛と、細っ白い腕、無駄を削った筋肉。中性的ともとれる顔をまじまじと見つめていると、鋭い目線がベッドの主から浴びせられた。

「何をしているんだ、エッジ。」
「おめ、その声!カイン!なんだよその格好」
「は?…って、姉さんの服!」

なんで俺が着ているんだ?っていうか、なんであるんだよ。姉さんの服なんて。しるかよ!お前じゃないのかエッジ!ののしりあいを続ける中、とりあえず着替えると言う選択肢を選んだカインの服の裾を踏みつけて、組み敷いてしまう様な形になった。女みたいな顔だな。なんて思考に走れば、なんかこっちが照れてくるではないか。

「おい、なにしてんだよ!」
「うぉっ・・・悪い。」
「ぐふっ・・・みぞおちに入れんなっつうの!」
「お前が、髪を踏んでいるんだ!エッジどけ」
「お前に乗られててどけるかっつうの!」

まぁ、そんなタイミングの悪い中に誰かがやって来てしまうのが世の常。ガチャリと開いて、銀色がドアをくぐってきたのだった。

「カイン!いるのか。」
「…あ。」

視線が重なって時間が止まるような感覚をサメラは覚えた。…なんだこれ?怪訝な表情になったのも自分で理解できた。この状況は何かと、理解して。一言、「邪魔したな」と声をかけて、サメラは扉の外に出て行った。そんな去り際に、「わたしはお前を満足させれなかったようだな。」という言葉を残して。

「おい、なんか違う方向に誤解されてるじゃないか!」
「俺はあいつしか愛さん!」
「というか、お前、なんで、こう。女物を着ているんだ?」
「知らんがおそらくはローザだ。」
「なんかよく解んねえけど、お前も結構苦労してんだな。今晩修羅場だぜ。」
「お前、解っているならはやくどけ!」

邪魔をした。

「あら、今日もにぎやかね。」
「母上。」
「にしても、あの服、どなたの服ですか?母上のにしたら足元余ってましたよね。」
「あぁ、あの服はカインのお姉さんから頂いたの。部屋を掃除してて見つかってね。この際だから返そうと思って」
「……」


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