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王と、その補佐サメラの攻防が始まる。(1/2)

「サメラ?」
「ん?どうした?リディア」

お前、ミストにいてるんじゃなかったのか?と、言葉を投げかけようとした刹那、リディアに言葉を奪われた。カインが、と聞いて心臓が勢いを増した。
今日、すっごい式典の日なんですけれども。カイン。お前、なにしてんだよ。なんて、突っ込みをも覚えた。
こんなやり取りが始まるのも、数分前に戻るのであった。

「ちょっとー。サメラいつまでついてくるの?」
「お前が仕事をするまでだ!セシル!」

今日も健やかに王と、その補佐サメラの攻防が始まる。仕事が嫌で逃げ出すセシルと仕事をさせるためのサメラの追いかけあいは、毎日の慣行行事にもなっていた。しかも、今日は世界の王が集まり会議をする日にも関わらずだ。どうせ、みんな知りあいだし、僕よりもサメラが行ったほうがバロンのためだって。というセシルの頭を叩いた事もあった。今日はやたらひどいように障害物競争を繰り広げていた。走るセシルの視界に見慣れた幼馴染を見つけて、その背を蹴り足場にした。

「あ、カイン!」
「おい!セシル!…ぶへっ!」
「待たんかセシル!…なんか、踏んだか?」

奇妙な足の感覚に違和感を覚えながらもサメラの脚は空を駆けた。

「あ、セシ・・・サメラ?」

会話を楽しんでいたリディアと笑っていた足元に倒れる蒼鉄色を見つめ、ローザはにんまりと笑った。隣にいたセオドアが奇妙に首をかしげていた。やばい、なんてセオドアは本能で悟って、冷や汗を流した。

「セオドア、運んでもらっても?」
「あ。はい、母上。」

こんなやり取りがあって、冒頭に戻るのだった。誰のせいだ?サメラのせいだ。とか、そんな話はどうでもいいのだ。そんな冒頭に入る前に、リディアはサメラに知らせるために、白中を駆け回った。セシルと追いかけあいをしているサメラを探すのもなかなかの一苦労だ。

「ひぃ・・・!もう、無理っ!」
「お、リディアじゃねえか!どうしたんだよ!そんな真っ赤になって。」
「エッジィ…あのね。」

カインが倒れたの!で、魘されてサメラの名前を呼び続けてるの。だから!だから!途切れる言葉を繋ぎ作り、息を切らしてむせこんだ。

「今日が、(いろんな意味で)山場かもしれないって。ローザの見解なの。」
「よし、解った。ちょっくら様子を見てくるからお前は、そのままルドルフを探せ。」
「うん。解った。異変があったらエッジ。カインのお願いね」

丸薬しこたま飲ませとくぜ!とかやり取りを交わして、リディアは走り去った。
緑を見送って、エッジはよし、と塔を駆けあがっていくのであった。




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