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「な、自惚れていいか?」
夕暮れのバロン。ハイウインドさんのお宅にも、平等に夜闇が迫る。そんな時間帯にカインがようやく帰ってきた。

「サメラ?」
「お帰り。」

ひょこりと間口に顔だけ出して、サメラが顔を見た。あ、疲れた返してるな。と表情だけで理解できた。

「どうかしたか?」
「いや。」

今更になって恥ずかしくなってなって、サメラは、いや、ちょっと。と言葉をを濁した。

「なにか、あったのか?」

ガシャン。と槍を玄関口に置いたカインは、サメラの姿を見て、豆鉄砲を喰らった表情をとった。

「いや、あの。昔キャラバンで使った衣装で、な。」

統一された柄の長袖と、少し開いた胸元、それからふんだんに仕込まれたパニエ。と同じ柄の長い手袋。

「何柄だ、それ」
「クアール柄。」

いや、普通着目する所か?そこ。サメラが言い放てば、カインはサメラから視線を外した。もしかして、目線のやり場に困ってる。とか。とぼんやり考えた。
リディアより少し低いサメラと、常人より少し背の高いカインであれば必然的に視線は下を向く訳で、谷間が見うる。位置に有る。何度もいうがサメラは幼児体だ。谷間なんて有るわけがない。

「兎に角服を着ろ」
「着てるではないか。」
「…そうだが。目のやり場に困る。」
「足にか、それとも胸にか?」
「もしかして、あのバカの雄叫びを聞いてそう思ってるのか!」
「……あ…う…違うのか?」

カインも好きかと思ってやってみたんだが。自分に胸がなくて、やっぱりローザが好きと言ってたから好きなんだろう、胸が。カインを。…違う、カインが、胸を。…言い換える、豊満な胸が好きなんだろう!男は!

「アホか!」
「胸が好きなら、お前と結婚しない。」
「……カイン」
「ん?」

厚い胸板に顔を押し付けて、口を尖らせ漏らして、冷たい鎧の熱を楽しむ。

「な、自惚れていいか?」
「…ほんと、お前もセシルと一緒で、甘え下手だよな。」

なんて言われて、力いっぱい厚い胸板に押しつけられる。カインの息遣いがよく聞こえて、サメラは耳を澄ませるのであった。


彼をモノにするお約束。
(…カイン、苦しい)(あぁ、そうだ。胸が小さくても、俺が大きくしてやるからな。揉んで。)(おい、まだ夕方だぞ。)(仕事は終わっているんだ、いいだろ?)(この性騎士)(ふっ、なんのことだろうな?)(お前だ、お前。)(聞こえんな)(・・・この、天の邪鬼)(お前もな、サメラ)(耳元でささやくな!)(耳、弱いもんな)(カイン!)(ほら、ベッド行くぞ)(おい、飯は!)(サメラだろ)(この性騎士がぁ!)

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あきゅろす。
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