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「にゃー」

これは記憶。
二度目の月の戦いを終えた魔導船内。
みな思い思いの時間を過ごしていた中で神妙な空気を振りまくサメラと既にボロ雑巾よろしくエッジが向かい合って、とりわけエッジが正座で座っていた。

「…これは?。」
「いや、それはその。エブラーナのな。」
「あ、サメラよく似合っ「か?」…えー可愛いのに。」

ぶー。と頬を膨らませて、リディアはサメラを見た。視線は彼女の頭上。白く生え少し尖った猫の耳。

「しかも一週間取れにゃいにゃんて!おみゃえは何を考えているのにゃ!」
「可愛いじゃない。ね、リディア」
「うん!」

至極ご満悦のリディアを尻目にサメラはため息をついた。

「ついに。」
「違う、セオドア!」

人間誰でも化け物になれるんだな。なんてセリフを聞き漏らすはずがなく。無論そんな言葉を吐き捨てたカインに鉄拳制裁を加えて、フンと鼻を鳴らす。

「サメラー。お魚いる?」
「ごろにゃーん。」
「あれ、サメラ?」
「にゃあ?」
「なんか、猫みた「ふにゃあー」…サメラが猫に、サメラが壊れた…!」

ちょっとローザ!レオノーラ!エスナをサメラに!
とばたばた走りさる。必然的に、残れたのはボロ雑巾のカインとエッジ。それから――。

「にゃあご」
「サメラ?」

ゴルベーザだった。人型の猫語。
そして、鎧でなく、質素なワンカラーのワンピース。短いスカートから、いつも鎧で見えない白い足が伺えてゴルベーザはそっと視線を逸らした。


「にゃあ。」
「…ルドルフ。」
「ふしゃあ!」

悪いな!とサメラを離しかけた途端に暴れ、サメラの爪がエッジの顔面を抉りとった。赤を散らしながらエッジは逃げるように、部屋を出て行った。

「ぬあー。」

甘えたような声を上げ、サメラはゴルベーザの足の上に頭を置いてごろころ喉を鳴らす。…完全に猫だ。
賑やかなエッジ達が居なくなって、いるのは猫みたいなサメラと意識のない雑巾男とゴルベーザしかいない。二人しか意識を持ち合わしていない。

「ぬぁ?」
「サメラ。」

セシルと同じようで違う銀は、親ににている。甥っ子セオドアにも似ていてやはり違う。

「サメラ?」
「にゃー」

手をそっと顎のしたにやって撫でればごろころなる。ちょっと嬉しげにゴルベーザの口角があがった。


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