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st.valentine。1/2
私。サメラ。

昼下がりのバロン。
上から2番目のの階の角部屋に一組の夫婦が向き合って座っていた。

「違う。そこははねる。」
「そうか…これで、私の名前になるのか…サメラ…か。」

白い紙に黒いインクが走る。すで書かれたのは、女の名前。私の、と言及するあたりが、女に学がないと伺える。

「これが、なぁ…。」
「…ちょっと待て。お前。」

わなわなと男、カインが震える。ん?と平然とサメラが、カインの方向に向いた。

「お前昨日1日セオドアと何してたんだ?」
「何って、何をだ?秘め事ならしたがな。」
「1日勉強してたんじゃないのか!」

もう、耳元で怒鳴るな。五月蝿い。と、サメラは反論し、怪訝そうな目つきでカインを伺う。

「いや、そのな。」
「言い訳か?。」
「なら、もう言わん。」

この屁理屈野郎。と、吐き出して、サメラはさらさらと文字を書き出す。
st.valentine。

「…バレンタインだ?」
「文字は昨日教えて貰ったが。セオドアと世界中の話をしていて、この時期に行うトロイアのイベントの一貫を思い出してな。」

知ってるか?甘味を送る行事だと、サメラは吐き出した。それを思い出したからセオドアに手伝って貰ったとサメラが理由を呟いた。それで、セオドアが始終笑顔だった理由なのか。と、ため息をつきながらカインは視線を窓に投げ出した。

「かなりの数があるからな。」
「…かなり?…」

セオドアだろ、セシルだろ、ギルバートにエドワードとパロムにベオグラードに。と指折り数えて、サメラは名を連ねた。

「アホか。あれは好意の証としてだ。」
「カインは、セオドアを好きだろう?」
「その好きとバレンタインの好きは違う!」
「ムキになるな。大人気ない。」

名前の一つや2つ呼ばれなくて妬いてるのか?旦那。
今の問題点はそこじゃない!
じゃあどこだ?お前が一番最後に渡すからか?
だからな!友好的な好き。と、恋愛的な好きは違うだろ!という話だ。
それが大人気ないと言ってるんだ。お前はどうして優劣をつけたがる。
答えずに疑問を投げるな。
…よし、とりあえず落ち着こう。な。カイン。

茶を机に叩きつけ、にこやかに笑うサメラに、昔からの幼なじみの影がよぎって、カインは何も言えなくなった。




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