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今日の景品はお姉ちゃんの鉄拳三発とお兄ちゃんの説教十分コースですー!


「いやー、よかったよかった!」

なにがって?スーパーのセールよ。うん。アイスも二割引きでダッツは買えたし、ネギも買えたしお酒も買えたよ。今月はこれで乗り切ってもらわないいと、家計の事情もある。いえーい!浮足立っておうちに帰る途中に軽い地震が起きた。うん?なんだか嫌な予感がする。うん、これは今までの経験則だ、嫌な予感がすれば結構当たる。外れたのは次の日の天気くらいだ。

「なにも。なければいいんだけ…」

何も無ければいいんだけれどなぁ。なんて言える余裕はない。目の前の住宅に月野さん率いるセーラームーン御一行どのが、入って行った。嫌な予感はい、的中!おめでとう、今日の景品はお姉ちゃんの鉄拳三発とお兄ちゃんの説教十分コースですー!
いやぁぁぁぁぁぁあああああ!アイス溶けただけでなんでそんなに怒られるんですか!お姉ちゃんなんかお酒しか必要ないのにどうして鉄拳を喰らうんだ!?お兄ちゃんのアイスだって冷凍庫に入れればいいじゃない凍らせるじゃないの!馬鹿ぁぁああああああああ!
とりあえず、悪態付いて変身して後を追う。

「セーラームーン。」
「エリスちゃん!」
「ダイモーンがでたの?」
「ちびうさが!」

ちびうさ?誰か解らないがその少女が友達の家に来てその家が異次元と繋がってしまった。らしい、とりあえずよく解らないしめんどくさ…げふん。人命優先だ。ついていくことにしよう。

「よーっし!エリスちゃん、玄関壊しっちゃってー!」
「…望むなら、しましょう」
「ちょ。ちょっと待って!」

今、なんとか繋がっている状態よ。そんな状況で壊してもちびうさちゃんたちに何があるか解らないわ。ほら見なさい、とセーラーマーズが言いきる。それをみて、じゃあどうすんのよー!なんて声が聞こえる。こいつら、頭痛の種かっ!突っ込むか突っ込まないか悩んでいたが、哀れなセーラームーンに助け船が出される。

「セーラーテレポートしかないよ。セーラームーン。」
「そのまんまだな。ネーミングセンス悪っ。」

げたげた笑い転げていると、笑いとめなさいとビーナスから一言こんできた。こんだけ笑わせてくれたので、ぜいぜいする息を整えた。

「ほら、行こうセーラーエリス。」
「私も行っていいの?」
「仲間じゃない、ほら」
「ありがとう」

仲間に入れてもらえたのが心から、嬉しい。伸ばされた手を掴んで、意識をひとつにまとめる。温かなエナジーが手のひらから流れて思考が伝わるような気がして、少し照れくさくなったのは内緒だ。ふわり、と足元から浮いて肌で感じる空気が変わって風を感じた。そういや、お昼ごはんまだだったな。なんて思いだしていると、思考が離れたせいか落ちた。

「エリス!」

声が聞こえたが、対応できるような距離から一気に離れていく。伸ばされた手は、掴まれる事なく私は落ちて行った。大きな崖に飲み込まれるように、私は違うエリアに飛ばされてしまった。真っ暗な闇に吸いこまれていくように地に落ちると、一気に床にたたきつけられた。腰から行ったので、痛みに悶えながら眉根を寄せた。どうしてくれるんだ、これで背骨折って一生寝たきりになったらこれはだれが支払ってくれるんだ、コンチクショォォォォォォォォォオオオオオオオオオ!っていうか、最近叫んでいるような気がする。気がしてしょうがないんだが。

「あんらぁ、はぐれちゃったのぉ?」

足元を見下すようにダイモーンがいた。お前が原因か、なんて、背骨が痛すぎて言葉が出ない。ダイモーンに隙を見せても待ってくれそうじゃないのは知っている、体を震わせて、ダイモーンと距離を取ってサンセットライダーを呼び出せば、ダイモーンは困った表情を浮かべ言葉を放つ。。
あらやだぁ、あたし、そういうの苦手なのよねぇえ、だから私はあんたを攻撃しないわ。だから、安心してもいいわよぉ。なんて、言うのでとりあえず、床に座り込む。痛さは落ち着いてきているので、骨折していない事は一安心だ。寝たきりは保険きかないものね。うん。

「あなたがこの家の中を可笑しくしてるのでしょう。ここから、出して。」
「いやよぉ、でも、いいわ。ひとつ勝負をしましょう。あたし、勝負だぁいすき。」
「じゃあ、撃つわよ、いい?」
「暴力はきらいよぉ、だから、コイントスしましょう?」

コイントス、知っているでしょう?表か裏か当てるだけ。簡単でしょう。なんて、囁く声が聞こえる。勝てば出してあげる。負ければ、純真な心戴くわ、とにやにや笑う女は私の返事を聴かずに、コインを空に放り投げた。重力にしたがってダイモーンの手の中に落ちた。

「おもてぇ?うらぁ?」
「…おもて。」
「裏だわ。私の勝ちィ。」

心を戴くわぁ。なんて声を最後に私の意識は途切れた、痛みはない、それに恐怖もない。逆に安心感がわいたような気がする。おやすみなさい。静かに眠る様に私の意識は消えて床に崩れ落ちた。



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