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「発見!捕獲!」
「あ、はじめちゃん!」
「月野さん、木野さん今帰り?お友達の方ね、どうも。不和です。」

木野さん以外は見覚えがあるぞー。見覚えがあるぞー!セーラー戦士関連のお友達ですか。と、一人納得する。確かにあたしもセーラー戦士なんだけど。とそっと、付け足して、簡素な自己紹介をすると、彼女たちも自己紹介をしてくれた。

「はじめまして、火野です」
「愛野美奈子です、よろしく」
「水野です。あら、このあいだの」
「今から買い物かい?」
「うん。」
「気をつけてね。」
「じゃあ、また明日ね!」

ゆらゆら手を振りながらその行く先を見つめた。消えゆくまで、小さくなるまで見送って、私も道を行く。暑い中。よく歩いていられるなぁ、なんて思いながらも、スーパーに入り込む今日は金曜日、アイスは明日になったら安いんだよなぁなんて思い返しながら、店内を歩く。今日は、キャベツが安い。煮込んで、スープにしてしまおうか。と、思考が走る。必要なものを買いそろえて、店を出る。熱い熱気漂う街の中に歩きだす。

「あ、リンゴが…。」

その先は下る坂なんで、いかないでぇぇぇえええええええ!走っても、鈍足なのに!こんなことで、変身しても意味がないよー!うわーん!自分の鈍足の呪いながら走る先は、坂の下だ。人もいるのが見えた。ちょっと、ぶつかると危ないかもー。ってか

「どいてぇぇえええええええええ!」

車は走ってもブレーキあるけど、人間ってないよね、ブレーキないよね、大事だから三回言うけど、人間ってブレーキないよね。ないですよねー。ですよねー!最後のは同意だ。誰だよ、何回も言うなとか言った奴は!いてこますぞっ!…んっ!何の話かな!私わかんなぁい!(しらをきった)

「はるか。」
「あぁ、」
「あ、」

拾ってくれた。でも、まだまだリンゴはあふれ出す。これだから、紙袋はきらいなんだ!無理やりなブレーキをかけて、なんとか踏みとどまる。

「すいません、ありがとうございました。助かります。」
「よかったね。」
「どうも、あ、これお礼です。落ちちゃったので悪いんですが。おふたりでどうぞ」

あまり傷のなさそうなものを選んで、渡す。紙袋も使い物にならなくなった今、とりあえず、通学かばんに詰め込む。これぐらいで死にやしないだろう。おとうさんも、私も。


「あら、いいの?いただいちゃって。」
「どうぞ、まだいくらでもあるので。」

それではごきげんよう。なんてお上品な挨拶を頂いて、とりあえず、ごきげんよう。を返す。自分のキャラじゃないのは重々承知だ。流される生き方をしている私が取った選択肢は一つ、ご機嫌ようを返して私も、自宅への帰路に就く。さっきのひと、普通の人とは違う印象がしたな。と、思い浮かべて、歩を進める。うん、いい人たちだった!来た道を逆方向に進んでいくと、先ほど分かれた月野さんたちを見かける。割り込んじゃ、迷惑かな。なんて思って、そのまま見ていることにした。

「発見!捕獲!」

背中から勢いよくはじき出されたそれが、目の前に現れた。吐き気の様な、強烈にバレーボールを顔面に食らわされたような、痛さも感じる。苦しいような、勢いとともに、意識も朦朧としてきたような。
「…わたさ、な…い。」
渡したくない。飛び出たそれを、抱えてうずまりこむ。誰かを、犠牲にする、タリスマン。なんか。渡したくはない。自分が死んでもいいが誰かが死ぬなんて耐えられない。霞む視界の中に足が見えて、耳が音を拾った。

「往生際が悪い様ね。」
「ほっと、け。」

前がかすんで見えない。息もできなくなってきた。吐き出しそう、苦しくて、なにもかも投げ出したい。純真な心を抱えて、自分の中に取り込む。

「あんたになんか、渡すものですかっ!ユージアル」

背後に聞こえる月野さんの声なんか、聞こえないふりしてさっさと変身を迎える。息をのむ声も聞こえたが、それどころではない。
「サンセットライダー。あたしは自分のすべてに誓う。戦う意味も、守るものも、」

プリーズセット!
ユージアルの隣に立つダイモーンに照準を合わせる。先ほどの後遺症としてか、目が回っている。前が、見得ずにそのまま意識を失った。

次に気がついたのはにぎやかな声、聞こえた。懐かしいような、幸せそうな声が私の鼓膜を揺らした。そっと、目を明けてみると、明るい見慣れない天井が見えた。

「あ、起きた?」
「…火野。さん木野さん。」
「大丈夫?気分はどう」
「気を失う前より、だいぶましかな。」

ぽつりぽつりと、雨が降り出して、屋根を叩く。心地のいい音がする。窓の外の草木は嬉しそうに上下に揺れている。

「あなたがセーラー戦士だったなんて。」
「見られちゃった?仕方ないわね」
「でも、何回も助けられた。礼を言いきれないよ」
「そうよ、どうして、あなたは一人の道を行くの?」

私は。私の前世からの問題よ。私の前世が孤独に生きた、孤独の戦士だった。どんな敵でもどんな距離でも撃ち落とすの。たまには漏れることもあったけれども。それでもいい、みんなの負担を減らせれるならば、私は泥の道だって、いばらの道だって歩いてみせる。それが、…。

「それが、私の道だから。」
「でも、」
「そうね。必要な時に必要なぶんだけ頼ってちょうだい。温かな記憶が私の力になるから」

悲しそうな顔をしないで、私はそれで幸せなんだもの、孤独な戦士の孤独な終わりが、いいのよ。言いきると、すこし、気まずくなって、視線をそらす。冷たい雨の音が、静かな空気を醸し出した。そんな空気を裂いたのは、二人の腕の通信機であった。ほんと。仲いいななんて、思ってみる。うん。確かにこの戦士たちは前世から仲良くやっていたような気がする。通信機から漏れる声を聞くと。みんな、はるかさんとみちるさんが!。建設途中の教会に集合よ。
月野さんの慌てた声だった。



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あきゅろす。
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