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ちょーっと、通信先まちがってますよー。

「はじめちゃん!」
「愛野さん。こんばんわアルテミス。」

弟のノートが切れたというので、スーパーに買い出しを兼ねて外出。それなりの荷物を持って帰宅途中で、愛野さんに出会った。うん。元気そうだな、彼女。
もうっ!愛野さんだなんて、かったぁーい!ほら美奈子って呼んでよ。なんて、背中を力強く叩く。こんな時間にどうしたの?なんて切り出せば、ちょっとクラウンまで、と切り返される。はじめちゃんは?って言い返されるので、弟のノートの買い出しなんて、ざっくり切った。

「…ん?」
「どうかしたはじめちゃん」
「嫌な予感がするよ。」

うーん。なんだかなぁ、ビニル袋を握りなおす。生活品を詰め込んだものは重たい。だが、持つ戦力が居ないのだ、仕方なく一人で持ち運ぶ必要性しかない。あきらめるように荷物を抱えなおして、美奈子さんの隣を歩く。重たそうね、なんて声をかけられて、そうでもないよ。いつもだもの。と返す。無難な返事だが、事実家の事情を持ち出したくない私の意志だ。通信機がちょろっと鳴ってレイさんの声が聞こえる。

「ちょっと、うさぎ。どこで油売ってんのよ。」
「レイさん。ちょーっと、通信先まちがってますよー。」
「あら、はじめちゃんじゃない!ごっめーん、まちがえちゃったー。」
「もーレイちゃん!」
「その声は美奈子ちゃんね。二人一緒だったの?都合がいいわ」
「うさぎの処に向かうわよ。美奈子ちゃんわかっているし。一緒に来てね」

いやはや、今日は何に巻き込まれるのやら、嫌な予感はすぐにやってくるので、逃げることを覚えても、使うシーンが見当たらないのは仕方ない。もうどうにでもなれ。なんて結構投げやりになっている今日この頃。ごめんおうちの人、晩御飯は遅くなりそうです。誰かつくっていてくれないのかな…。うん。ってか、妹中学入学したのに。あいつはどうして作ってないの!ちょーっと頭を抱えて、荷物を握りなおす。そうだ、この荷物を先に置いて帰ったほうがいいのかもしれないね。

「ごめん、先にこの荷物家に置きに言ってもいい?」
「あぁ、そうだったね。先に置きに行こうか。」
「この荷物を持って戦うことはできないからね。」
「なら、十番公園の噴水広場に」
「了解」

苦言を漏らしながら、重たい荷物を急ぎ足で家に帰る。一気に荷物を置いて、家の連絡用ホワイトボードに緊急招集とだけ書いておく。うん、冗談でわかってくれるだろう。うん。冷やさないといけないものを冷蔵庫に突っ込んで玄関に走る。妹が宿題を片付けているので一言残して一気に指定された先にかけていく。そこにみんながいて、ちょっと険しい顔をしている様子をみると、なにか起きているような表情が語ってくれる。

「大丈夫?」
「へ…いき。」
「平気そうに見えないよ。」
「いつもだし、大丈夫。伊達にスーパーで鍛えられてないよ」

明日は筋肉痛かもね、なんて一人ごちて後を追いかけていく。明日の学校が憂鬱だな、なんて思いながら心がどこか冷めていく気がした。気どころではない、感じるのだ。木々の間で悲鳴が駆けた。やはり新しい敵が出ているのかと思考が走って、本能が急かす。後ろで声がしたなんて気にしない。っていうか、いつも気にしてない。後でお説教だろうが何だろうが今が大事だ。

「はじめちゃん!」
「セーラーエリスパワー!」

鼠色のセーラー服を身にまとい新しい力を受けたサンセットライダーを握る。そうして私はどどーんと新たな敵レムレスの前に飛び出すはめになるのはまた別のお話。



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