「セーラーエリスパワー!」 「…う…」 頭が鈍い。あたしは何をしていたのだろう。ぼんやりする頭を押さえながら、息苦しくて、目が覚めた。温かなベッドに横たわっていたのに、気がついた。 「目、覚めたのか?」 「…ここ、どこ?」 「俺の家さ」 「貴方は…?」 「俺は千葉衛。それから…」 男がある人物の名前を出す。タキシード仮面だと。タキシード男か。 うん、ネーミングセンス悪い。なんて、本人目の前で言えるはずもないので、静かに笑う。 「どうして君は…。」 「…私は?」 心を持って行かれたのに、どうして君は起きているんだい?と、千葉さんに言われた。なんだって?心抜かれた?ナンノハナシデスカ?それは初耳だ。だが、おぼろげな記憶はある。土萠さんのお宅の異次元に行ったときに、ダイモーンとやりあった記憶がある。そこまでしかない。ということは、そこで自分の心が抜かれたのだろう。 「その子は…」 「俺の未来の子。ちびうさだよ」 「そう。」 「私は、不和はじめ。セーラーエリス、どうやって起きているのか。それはきっと、サンセットライダーが助けてくれているの。」 「サンセットライダー?」 「セーラームーンでいう銀水晶。私で言うサンセットライダー。」 きっと今は、命の源であり、媒体役をしている、前もそうやって死んでいったのはよく覚えている。エンディミオン様。 ぽろりと言葉が出た。どうして、その言葉が出たのかは自分自身でさえよくは解らない。これも、前世の記憶、零れる言葉は止めることを知らない。 私の前世は遠く、太陽の遠くで、ずっと太陽系をお守りしてきました。だれも知らない、争いの戦士です。あのときは急襲により内部にまで侵入を許してしまい、撤退に撤退を重ね、最後はセーラー戦士を庇い亡くなりました。だから、私は今世も。誰かを守るために戦うのです。誰かを救えるのならば、この命だって投げ出して見せましょう。穏やかな顔をした私の心は安定している。もう、これは戦士を始めたときからの、確固たる意志にして、もう揺るぐことは許されない。 「お布団、ありがとうございました。」 「おい、行くのか?」 「えぇ、だれかが傷つく前に。私は私のために戦います。それが使命ですから。」 サンセットライダーで、空間を繋いで、一気に町に走り出す。引き止める声も聞こえたけれども、私は戦わなくてはいけない。この心が、サンセットライダーに殺されようとも、私は私の意志の元に戦う。傷つくのは、私だけでいい。もう誰も、傷つけさせたくない。切れる息も、動かない足も今は何も考える必要はない。無限学園の入口まで走って、赤い壁を見つめる。ダイモーンの壁に強い、エナジーを感じる。どうしようもないが、戦わなければならない。 戦うのならば、 守るのならば、 止めるならば、 生きるならば、 思うのならば、 私は。 私は。 「目の前の城壁を崩すだけだ!。」 サンセットライダー! 今はないが自分の相棒を使うように、手のひらを赤い壁に向ける。こういうのは使い慣れていないが、仕方ない、自分の通る道さえ出来てしまえばいい。それさえできれば、私はそこを通るだけ。はなから一方通行の予定だし、帰る予定もさらさらない。 ブースト! 光の集束が見える。その向こうでセーラー戦士が結界を張っている。彼女たちの一瞬でもいい楽になれるのならばもっと、沢山の出力がほしい。 セット! 軌道を決めて、もう片方の手で添える。軌道がぶれないように補助を決める。 ファイアー! 発射と同時に、赤い壁が一気に増出した、どうにも対処ができなくて、勢いにのまれるように、自分の力を展開する。しかるべき行動は盾。守るべきものは仲間。 「セーラーエリスパワー!」 球体が私のエナジーが三つに分かれて、私自身が壁になるにビーナスの目の前に立つ。愛武器は自分の生きるためのモノとして、自分の胸の中にある。ならば、自分が壁になるしかない。もう、何も怖くないような気がする。きっと、前世のエリスだってそうだったのだろう。誰かを守るために戦う、不器用な人だと、私は思う。素直になれないのは私と一緒。素直に甘えることを知らない、だから孤独のままに死んで行くのでしょう。 私たちが暗黒のエナジーに包まれる。私以外のだれかを守ってあげて。 [*前へ][次へ#] |