相逸れぬ運命だったのだろう。 緊急の呼び出しで、キャラバンから離れマラコーダは一人、旅路を突き進む。 「んと、ごるびーちゃんも辺鄙な所に塔なんか作っちゃって、」 「そんな文句たらたらでいいんですか、マラコーダ。」 「ごるびーちゃんの思考がよく解らん、それにとやかく言うな。」 「はいはい、悪かったですね。」 ブツブツ文句を垂らしながらザリザリ地面をならす。砂塵舞う世界を見やりながら、マラコーダはため息をついた。 どこを見ても、砂砂砂。砂色の世界を見つめて、ため息を一つ。 「きっと、あの子も、色のない世界を見てたんでしょうね。」 「サメラ、か?」 「あぁ。」 自分を殺して生きていたようですから。一人で帰って大丈夫でしょうか。なんてシュトラールが言うが、空に赤き翼が飛んでいた。 「赤き翼は、あの子の育った町に飛んで行った。」 「もしかして、マラコーダ。あなた。」 「逆らう人間に鉄槌を下すのは当たり前な事だ。」 それが、悪の道だ。と言わんばかりに鼻で笑い、沈黙を保つ。先にシュトラールが口を開いて、言葉を放った。 「あなた方は、いいのですか?」 あんなに楽しみにしていたじゃないですか。シュトラールは知っていた。彼らがサメラを来るのを楽しみにしていた事ぐらいは。彼ら手製の垂れ幕まで出来ていた具合だ、気力はバッチリだっただろうに。 「これが、俺らの道だ。」 相逸れぬ運命だったのだろう。それはそれだ、仕方ない。と切って、マラコーダはまた口を噤んだ。 「でももっと善良の策があったはずでは。」 「無いな。」 もっとお前の身内が傷つかないような善良の策としてあげられるなら。シュトラールがごるびーちゃんを倒す事ぐらいだし、サメラがこちら側に来ていたら、お前の弟も拾われなかっただろうに。 「どういう事だ、マラコーダ」 「今言った通りだ。」 サメラが、こちら側に来ていたら、道端に倒れていたお前の弟は拾われもしなかっただろうに。 冷徹に突き放してみれば、シュトラールの声が聞こえた。 「どういう事だマラコーダ。」 「俺も解らん。ただ、俺は与えられた仕事をするだけだ。」 一人のバロン脱走兵と一人の手下に降らなかった愛娘のような奴の抹殺任務だってさ。と、まるで他人ごとのような台詞を吐いたマラコーダは代赦色の土を蹴り飛ばした。 [次へ#] |