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「今、殺しにいったげる、からね。」

「アガルト、か」

ザリザリと歩きながら、なのはシュトラールが希望したから、いつもこうして移動していく。浅瀬の繋がる満ち潮の夜にザバザバ鳴らしながら夜の海を渡り歩く。夜なだけあってか、肌寒い夜なのは、海の所為か、天気の所為かは知らないが、マラコーダは肩を振るわせた。

「サメラが来るってさ。抹殺命令だって、ほんと、人気者だな、あいつも。」

やれやれと言わんばかりに首を振り、ため息を一つ。シュトラールは、いまだに眠りの世界だ。起きる気配のないやつにぼやきながら、マラコーダはまたため息をついた。

「ほんと、運命って……わからねぇよな」

なんてぼやいてみながら、マラコーダは人間の姿を象る。団長、なんてよく呼ばれた姿だが、目的だけを達成するならこの姿では、駄目だ。すぐさまに姿を変えて幼女の姿を形どる。

「大丈夫よ、待っててね、サメラちゃん。」

くるくるした髪が風に揺られながら、幼女は陸にあがり、魔物を呼び指示を飛ばしていく。

「今、殺しにいったげる、からね。」

ニヤリと笑う姿は狂気を纏い、幼女は魔物に連れられるような形をとって、アガルトに乗り込んだのは、サメラ達が一旦置いて行った愛刀を回収しにトロイアに行った日の事である。
幼女、ダンサーの姿を得たマラコーダは静かに標的が来るのを待って、静かにその時を待ちわびていた。
待ちわびる中で、町から離れたところで肉塊を作り上げて待ちわびる。
1日も終わろうとしていたころ、飛空挺が空を飛んでいたのが見えマラコーダは口角を歪めた。

「奴らが来たぜ。」

年齢にそぐわない嘲笑を携えながら、ダンサーは、その日を今か今かと待つばかりである。

サメラを連れ出した後に料理に毒を混ぜてサメラの仲間に食わせ、その彼らを人質として捉え、一度最終勧告を進めてみるか。

あの戦力は惜しい。なんて思考が入り乱れながら、ダンサーは街の入り口に駆け込む。

「サメラちゃん!」
「ダンサー?」
「よかったな、ダンサー」

抱き付いて、サメラの名を呼ぶ。はいはい、と言わんばかりに手慣れた様子で扱い、時間だけが無常に流れる。



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