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幻想終焉の始まりが、空高くの夢の船が開幕を知らせるのである


「サメラ。」
「なに、団長」
「なんでしょう、団長。だ」

やがて日を経て年を経て、少女は大きくなり無くした心を、少し少しと段階的に受け入れていくようだ。見やれば、少女の年齢も15、若しくは6に見てとれる。…もしかしたら、小さな18、19どもあり得るかもしれないが。
それはそれでおいておいて、だ。戦いも仕込み戦場も駆け魔物も伸す。ついでに人間の弟子も彼女は得ている。キャラバンも増え陽気さが増しついた名前は、三番目の奇術師-Maniac Replica-。一番目二番目はどこいった!なんてシュトラールが言うが、気にしない、
シュトラールとは、たまに喧嘩をふっかけるように、ふらりと出ては帰るを繰り返しているし、宿代変わりに年に一二度マラコーダがバロンに出向いてシュトラールの身内を遠巻きに眺める関係だ。
時は満ちてサメラを配下に納めようとする下準備として声をかけてみた。

「お前、ずっとここにいるのか?」
「まぁ。」

ここが好きだから、なんて返してくれちゃったりする。この娘は、なんと言うか。…つくづく自分の策に溺れない奴だと奥歯を噛む。何度も町民に紛れたバルバシリアやスカルミリョーネをを使って勧誘してきたのだが、悉く上手く行かない。

「お前もいい年だろ、どっかの野郎が「こんな馬鹿な女を気に入る奴なんて居ないだろうに」」

居たらとっくに行ってる。なんて返事がくる。なんという男勝りな事を言うのだろうか。

「……お前もおしとやかに生きるのも必要だな」
「…いらない。」

言ったそばから全てを否定するな、サメラ。首元を掴んで逃げ出さないように目の前に連れる。

「団長。」
「サメラ。どうした。」

実は、一旦街に帰ろうかと思って。と切り出される。何があったんだと聞けば、端的に首を振って、ただ、見返しに行こうと、思って。近くまで来ているし、見に行ってすぐに次の街に向かうから。

「帰る家はここだ、出て行く家もここだ。散歩がてらに行ってくればいいさ。お前の人生はお前のモノだ好きにすればいい」

そっと撫でてやるとサメラは頬を緩ませて、微かに笑っていた。空には占領したバロンの赤き翼がミシディアの方向に走って行くのが見えた。

そう、幻想終焉の始まりが、空高くの夢の船が開幕を知らせるのである。始まりは青色、彩色。空の青は、綺麗にサメラの色に重なった。






あきゅろす。
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