いざ、終焉の地に。
「その後、お前達は一対いくつに分断されたのか」
「……上官」
「あぁ、わかった。行く。スカルミリョーネ任せた。」
窓の外を眺めて、サメラはそこから梃子でも動かない、否動いている所を見てない様子を見つめた。
呼び出しが掛かったと声をかけられてマラコーダは、仕方なさげに部屋を後にして、廊下を鳴らす。
「生きるか屍のようだ。」
ポツリと呟いて階下に降りて、マラコーダは目を白黒させた。それと同時にシュトラールが、やってくれますね。とゲラゲラ笑い出す。
「飛空船、もって行きやがったなアイツら!俺の隼号!」
地底は面倒だからと、頂いた一つの船、付けた名前は、隼号。エッジよりもネーミングセンスが悪いが、そんな話はまた別に置いてだ。なんで、俺のなんだよ。アレ試作号旗だぞ、と野次りながら、今来た道をズカズカ上がり込む。
「災難ですね、マラコーダ。」
「五月蝿い、笑うな!アイツら、俺の隼号を。」
「また、作れば良いじゃないですか」
「あれは、お前が目覚める前からやってたんだぞ!?」
そうだったんですか、と何も思ってなさそうな口振りのシュトラールを野次る。うわ、八つ当たりですか、最低。なんて帰ってくる。
「毎日端正込めてレビデトをかけてたんだぞ!?」
「レビデトで、空を飛べると思っていたのですか。」
コイツは馬鹿だ。と聞こえた気もして、マラコーダがシュトラールに釘を打って、ため息。
「レビデトなんて二回かけると無効化されるのに。」
「それに、あの船はあいつ等を連れてくる時に乗せた船だったからこそ」
大切だったのにな。と呟く。居ない仲間を思うのは、悲しい。
同じ姿で巡り会えど、それは以前の彼らではない。だからこそ、マラコーダは仮面の下に何を隠す。
「マラコーダ?」
「どうしたシュトラール。」
「……最後の仕事だ。中で寝てろ。」
それはシュトラールが恐れていた未来の話。敵対するマラコーダの中に潜むシュトラールが一番恐れた事。
「まさか、ハーヴィ坊達を」
「だからだ。」
「マラコーダ、お前。」
「いや、勝つつもりはない。」
適当に嘯いて逃げてくるつもりだと、言えども、それも偽りでしかないのをシュトラールは知るはずもなく、マラコーダの言葉を信じて中に入っていく。
呼びかけに応じない相方を見てマラコーダは抹茶色をした草の塊を踏みしめた。
いざ、終焉の地に。
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