「ひかかってやんの。」
「やっぱり、前と変わらんな」
「前って、拾った時?」
ずいずいと詰め寄って、シュトラールがゴルベーザに問いかければ、口を窄める。
「困った時に黙る癖。治ってない…」
「私は今…!」
「ひかかってやんの。」
ケタケタ笑ってやるとゴルベーザは苦い顔をしている。…前は鎧だったから表情を伺えなかったが、今見るとやはりハーヴィ坊と似ているな。なんて思う。
「マラコーダ、お前」
「今はシュトラールっていう名前だよ」
「…シュトラール、お前な。」
「そそ、ごるびーちゃん。あいつら、元気?」
瞳を伏せがちにして、シュトラールは言葉を放つ。あいつら、を指す言葉が誰かはよく理解できた。
「いや、地獄にあの声が響かなかった。だから、まだ生きてるかな。って…な訳ないんだがなぁ」
なんとなく希望を持ってしまったからルドルフに頼んだ。あいつらによろしく。と。
あいつら、ルドルフの方を可愛がってたからな。会う機会ぐらいあるだろ。肩を鳴らして、言い捨てた。
「元気な奴らだ、きっと三途の川で蹴落とされてあの青い星で生きてるに決まってらぁ。」
「マラコーダ、お前はそれでいいのか?」
「……なんで?」
ひょん、とした表情でシュトラールはゴルベーザを見た。怯えず真っ直ぐにシュトラールはゴルベーザを射抜いた。
「キツイ事ばかり言ってたし、あいつらにキツくあたったし、会ったとして会わす必要がない。それに。」
私は世界から嫌われているのさ。言い切ってから、ニヤリと笑って、ローブの形を整えて、地獄は姿勢を正し直しで笑う。
「なぁ、ごるびーちゃん。一個聞いていい?」
「どうした?」
「形が無いモノは、この世に存在するのか、否か。」
「お前のわりに、難しい事を聞くのだな。」
「ほっとけ!」
がちーん。と脳天に喰わせると、シュトラールは鼻で笑った。
「お前、もしかして幽れ「言っておくが、非科学的時なもんじゃねぇよ」」
お前、人の話聞いてたか!?なんて突っ込みをいれつつ、ごるびーちゃんに問い質せば、無言。聴いてなかったなコイツ。
「俺は俺の…シュトラールの記憶を消費しながら存在している。やはり記憶だけじゃあれだがな…」
ペロンと手袋を剥ぎ取ってゴルベーザに見せる。そこに色はない。形はあれど見えない手のひらがある。
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