[通常モード] [URL送信]
「人は人であらず。」

サメラはひっそりと、昔の地下水道を歩いてバロン城に侵入して、王の間に向かう中、兵士に見つかった。
幸いに、目深に被ったローブのおかげかサメラがサメラと気付かれてないみたいだ。…が、兵士は、一言あげて槍を高々と突き上げた。

「っ」

条件反射の様にすぐさま対応し、反撃の体制を取る。

「人は人であらず。」

サメラの頬に刀傷が一つ増え、血がたらりと垂れた。目の前の敵を切り伏せても切り伏せても、また立ち上がる。それは、兵としては有能であり、そして名誉である。だが、それは人としての話だ。心臓を刺せども、喉を突けども、目の前の敵は平然と立ち上がる。そうなれば、人であらず、魔物だ。

「この城は、既に…!!」

あの女が落城したのか。一人悪態をついて、今度は縦に真っ二つに裂いた。こうすれば奴らは立ち上がれないだろうと予測しての行動だ。人が居ない事を確認して、サメラはため息をついた。
目の前の肉塊を見て、ここにまともな意志を持つ者などいない。居ても、其人は生ける屍の様な奴だ。

「仕方ない、他を巡るか。」

大きな木の城門を蹴り破り、サメラは静かにバロン城から出て行った。

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!