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「くえー」

移動を取り止めて、またケタケタ笑うマラコーダは姿を変えた。金髪でメタリックブルーの鎧を纏った若い女。

「ハーヴィ坊、懐かしい名前で呼んでくれやがって。」
「いたたたた、シュトラールさん痛い!」
「…お前ら、知り合いだったのか?」

マラコーダもとい、シュトラールの細腕がセシルの首を締めて銀髪をグシャグシャだったものを尚グシャグシャにしていく。

「ああ、マラコーダになるまえのシュトラールの弟の親友だ。」
「でも、前までそんな事言わなかったのに、」
「今この世界、二代前のコスモス軍勢、聖なる鎧の守り人、ごるびーちゃんの部下、んでシュトラール、そして、ダムシアンの神官って遡るんだけどさぁ。なんか、全部の記憶がごっちゃになってさぁ。」

クリスタルさえ有れば、記憶が全て順序立てて理解出来ると聞いたから、私はサメラ・ルドルフのクリスタルを奪わなければならない。

「それでクリスタルを。か。……」
「大丈夫、輝かせ方は知ってる。だから、頼むのさ。」

弟の想い人をな。ニヤリと笑って、シュトラールからサメラ、そしてマラコーダに姿を戻して、最後に一言話して、姿を消した。
アイツは、自分の玩具だった人間を壊すから、探し出せよ。ま、早くしないと闇は深さを増すぞ、と。

「おい、それって…」

下手すれば戻らないということか。クラウドが一言漏らすが、誰にもか聞こえず消えていく。

「シュトラールさんは、嘘はつかない、」
「でも、アイツは敵なんだぞ。」
「解ってる。でも。」
「くえー」

マラコーダを信じるか信じないか、そんな討論をしていく中、微かにティーダの耳に何かが聞こえた。囁くような優しい声色は、酷く懐かしい感覚に襲われた。

…ちだ。…
「サメラの声がする。」
「ティーダ?」

聞こえる声に従って、ティーダは闇を走り出した。

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