大事だからきちんと二度言いますよ。 薄々と違和感を感じた。…テントを張り出したころに、ふと気付いた。誰かいる。張り付く視線に、背筋が寒くなって、一点を睨みつけた。 「どうかしたのかサメラ。」 「なんでもない。」 気のせいか。と決め込んで、また何事もなかったかのように取り繕って、視線を落として物思いにふける。 「サメラ。」 「何、セシル。」 …やばい、コイツに教えたら余計にゴタゴタになる。綺麗に笑っているが、片割れは何を考えているのか、解る。 「何。じゃないよね。」 「…ハイ。」 「何かあったよね。」 「ハイ。」 「ハイ。じゃないっ!闇よ、魂の叫びよ。」 「ぎゃあっ!」 ナンデスカ、コノヒト、コワインデスケド。大事だからきちんと二度言いますよ。怖いんですけどォオっ!。 叫びながら、紙一重で交わしていく。もちろん、足はつかいものにならないから、手をバネにして勢いつけて、だ。 「破邪の光よ」 「ぎぃゃああっ。死ぬっ。セシルー。っちゅうか…あれ。」 なんで今、聖騎士になったのさ。右手を軸にセシルと距離をあけて、逆立ちでバックステツプみたいな事をして、様子をみる。伊達に軽業師を草鞋にしているだけある。 「サメラ」 「それが能力-ちから-、か。」 バッツに教えられた話を思い出して、合点がいく。クルクル変えれるスタイルなんだろう。 「…サメラ、能力-ちから-の話、誰に教わったの?」 「バッツとジタンに会った時に。」 「会ったの?」 そう会話が進めばセシルはまたニッコリと笑った。中性的な顔つきをしているからかして、すっげー美人なんだけどさっ。今までが今までで、こうやって笑っているときはいい試しがない。 「なんで別の奴と出会ってるのさ馬鹿サメラっ!」 「ちょ、タンマ!チョコボ!」 ぐぇっ!っと鳴かれたのは無視して跨って、本人…いや、本チョコボも危機感を感じてか逃げ出す。 駄目だ、ここは野郎しかいないのか。 野郎じゃなかったら、セシルは怒らないのか。 なんて最初から的を斜め横に走る思考が入り乱れる。 「もう、余所行くっ!セシルなんか知るか!」 なんで怒ってるのさぁ!なんて叫びながら、サメラはキャンプ地から抜け出した。なんかフリオニールのため息が聞こえた様な気がしたが、この際無視だ。 [*前へ][次へ#] |