[通常モード] [URL送信]
その先を。

「ありがとう、団長。…いや、シュトラールさん。」

片手を胸にあてて、自分の中で問いかけた。

その先を。
その行方を。

かけていた穴が渡された記憶によって埋められて、何が起きてたのか、理解して落ちていた文字通りの相棒、クリスタルの入った小瓶、を拾い上げて鎧を被る。竜の形を模した鎧を見て、しばらく会っていない片割れの親友を思い浮かべた。
柔らかな金糸、空の青、全てが綺麗な記憶のままだ。

「残念だが…もはや…限界のようだ…。外骨格で制御していた…化学変化が…!私の脳…にも…へんかが…ハジマ…タ…!」
「…クリスタルの影響で、本性でも表したか?」

インシデントソルジャーを構えながら姿勢を低くして前を見つめる。何がおきても大丈夫なように尚距離を開けた。開きすぎの距離は歩幅にしておよそ十四、五。そんな距離なら逃げ切れるとタカを括って前を睨み付けた。
が、突如、飛来物がサメラを取り囲う。周りに逃げ道がないと理解してサメラは空に逃げた。創造主と繋がった不気味に太い触手のようなものが空気を割いて、空を巡るのを見て、サメラは一つ蹴り飛ばして、触手の範囲から逃げ地に立つ。

「私は、…私達は、馬鹿げた話に付き合う暇はない。創造主、地に堕ちろ。」

実際青の星に墜ちると困るのだが。
ニヒルに笑ったサメラは右の拳、親指だけ立てたが勢いよくその親指を地に向け振った。

「発ろ、ファイガ。」

サメラの言葉に合わせて幾つかの火の玉が弾けて燃え広がり追加効果を与える。
火柱が天高く立つ。そういえば、カインたちが追ってくるかもしれない、なんて記憶が残ってたな。と思い出したが、まぁ奴らなら這ってでも生きて降りてくる、それに白魔導師が5人もいるんだ平気だろう、と予測する。そんなところが、サメラらしさなのだが…そんな火柱がまた知らない所で偶然敵対する記憶を燃やしていたのは別の話であったりするのは、ここだけの話だ。

「さぁ、七つの順序を尊守して、同じラウンドに立とうではないか。創造主。」

それがタイマンだろう。創造主、次の調和の神が選んだ代理人、どちらが上か決めようじゃないか。

口元の口角が歪む。
まさに棒の姿をした相棒を薄い刃の大刀に変えてサメラは地を蹴って不気味な触手の中に飛び込んだ。


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!