もーまんたい。
4.ヤン。
薄く滴る赤に気づいた。先程の戦闘のおかげで、全員が疲れきってる。ローザの手は煩わせれないと感じてそっと声を掛けた。
「ヤン。血が出てる。」
「何時の間に……かたじけない。」
「構わない、ケアル」
翳した手は、ぼんやりと光彩を放ち、ゆっくり傷を癒し始める。静かに目を伏せた。
「すまない、ヤン。もっと強かったら、誰にも傷なんて付けなくて良かったのに。」
銀色が笑う。自嘲するように笑った。
「もっと強かったら、誰も失わずにすんだのに。誰も傷付かなくて良かったのに。」
もっと強かったら、ファブールの時だって、シドだって。テラだって、パロムやポロムだって、三番目の奇術師-Maniac Replica-だって……。
守りたいもの、を、守れたのに。どうして私はまだ弱いのだろう。と呟いて、ぽたり、ぽたり。寂しい涙が零れ落ちる。
泣き顔を見られたくないのか、ふい。と顔を背けた。
「だから、助けに行ったのだろう」
「でも。」
「仲間、で、あろう?」
「う、ん。そうだな。」
俯いて頷く銀色の姿は、子供のような印象さえも受けた。
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