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もーまんたい。
3.ギルバート。

道中でギルバートは前を歩く銀を呼び止めた。どうした、と言わんばかりの顔つきで先頭からしんがりまで後退してきた。

「ねぇ。」
「どうした?ギルバート。」
「僕は大切なものを無くした。そして君も大切なものを無くした。」
「そうだな」


平然と答える姿は、異常にもみえた。


「でもな、世界で一番ではない。大切だけれども、彼らには非道な扱いを受けた。」

例えば親代わりの存在。
彼等から存在すらないような扱いだとしたら。ギルバートなら、生きていけるのか?

私はそういう場所で育った。だから気にしない。大切な生まれ育った場所だが、さほど大切ではないんだ。ギルバートの周りは大切だけで囲まれてるから強くなれる。必要なのは生まれ育った場所じゃない産まれてからの意志の強さだ。

そう言われたのは、ほんとのついさっきのような気がするな。と、復興途中のタムシアンで思い出した。

「おーさま、うたって。つきびとのうた、うたって!。」
「今すぐに行くよ」

緩やかに笑って懐かしいリュートに振れる。柔らかな音色がその記憶を思い出されたのだった。

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