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もーまんたい。
「ねえさま」

長物の槍を振れば軽い音が鳴った。大丈夫、勝ってみせる強く槍を握り締めて息づく。必ず勝ってみせる。と意気込んで、視線を前に向けた。入り口から頭を少し出して、こちらを伺っているのが一つ。
つぶらな瞳にシュトラールは射抜かれた。

「ねえさま」
「おや、ファレル嬢やハーヴィ坊と一緒じゃなかったのか?」
「ねえさま、お仕事?」
「あぁ、そうだ。」

一緒に遊べないな。と仕方なさげにシュトラールはカインの金糸を撫でつけた。
シュトラールはカインの髪がグシャグシャになるまで頭を撫で回せばいつものように「きゃーねえさま、いたいー」と戯れる声が聞こえる。

「カイン。じゃあ行ってくるよ。」
「ねえさま、帰ってくる?」
「カインの為だからね帰ってくる。」

金糸から手を離せば寂しそうな表情をされたが、そんな表情をするのはいつもの事だ。扉を開ければ、花の匂い満ちる春の陽気がシュトラールを包んだ。

「順番に問題を片づけないと、な」

頭を 抱えながらシュトラールはバロン城へ登城する道を踏みしめる。大丈夫、負ける気はしない。

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