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もーまんたい。
「とおさま、おひげいたーいー。」

なんと言われるか、とリチャードは全くの予測は出来なかったが、国王や自分の守るべき人に全てを話すと「あら、可愛い女の子じゃない。」とか「愛らしい子供じゃのう」とか否定的な言葉は出ず、トントン拍子に話が進み、赤子は問題なくハイウインド家と養子縁組を果たす事になった。

「とおさま、おしごとは?」
「今日はシュトラールのためにお休みをもらった。シュトラールー。」
「とおさま、おひげいたーいー。」

辿々しい言葉を紬ながら、父親の抱擁を拒む事はなく、赤子はすくすくと育ち愛らしい女の子に生長していくのである。
黒の瞳、ふんわりとした太陽色の髪を揺らして小さな飛竜に乗ったのはサメラが4つ5つの頃だ。ギャーギャー喚きながら空に浮かび上がって父親を心配させた事もしばしばあった。

「シュトラールが帰って来ない!大丈夫かぁシュトラール!」
「父様は心配しすぎですぅ。」

なんていいながら飛竜を乗りこなしているのは、シュトラールが持ち得た天武の才か、父を見て育ったが故か。なんて現在になっては解らない事だ。そんな彼女は、ハイウインドに属するが故の苦悩を受けながらも、然るべき教育を受ける。
そして彼女が9つの時に新たな兄弟に巡り会う。

彼こそが、現バロン国竜騎士団隊長のカイン・ハイウインドである。

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