もーまんたい。
新たな命を抱いて。だ。
リチャードはチョコボに促されて森の奥、奥へと促されて、バロンからでも見える大きな木の根元にたどり着いた。
大きな木の根元には、不思議そうにチョコボが二、三匹集まっていた。チョコボ達は目線を合わせて小首を傾げているばかりで、根元をみつめている。リチャードをここに連れてきたチョコボが一鳴きすると根元にいたチョコボ達は尚も奥に消えていく。
「くーえ。」
「あ?行ってみろ。ってか?」
「くええ。」
しつこく引っ張って来た癖に、帰る時はあっさりとチョコボは帰っていくのである。緑の世界から華やかな黄色が消えていくのを見送って、リチャードは根元に歩み寄った。
「うーあー。」
「!!」
「あーあー」
白い布に包まれた生まれて間もない小さな赤子。黒の瞳で愛くるしい笑顔を振り撒き小さな手をリチャードに向けた。
「だからチョコボ達が集まっていたのか…。」
「うー」
小さな手はリチャードの指を握って、放さずに何かいいたげに声を上げる。
「お前、家にくるか?」
「だー。」
優しい手つきで赤子を拾い上げて、抱き寄せると冷たい鉄から、赤子のぬくもりが伝わってくる。
「さぁ、嫁さんになんて言うべきだろうな。」
起きる先を予測しながら、リチャードは今来た道を再び歩きだす。
新たな命を抱いて。だ。
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